【延寿通信】 2008年04月04日(金)

延寿通信 第56号 2008年4月

浴槽の手入れ

延寿通信  56号  2008年4月  

浴槽の手入れ
浴槽と一言でいっても、いろいろの種類があります。以前に本紙の第33号(2006年5月号)にて、浴槽の材質を取り上げましたが、それを復習しつつ浴槽の手入れと洗浄について特集します。
 この浴槽の手入れは、浴槽の材質によって大きく左右されますので、対象となる浴槽の材質は、しっかり把握しておいてください。
 浴槽の材料は粗く分けると、木・プラスチックス・金属・石の4種であり、それをもう少し詳しく見ると、次のようになります。
@木材(ヒノキ、サワラ、コウヤマキほか)
A金属(ステンレス、鋳鉄・鋼板ホウロウほか)
B大理石・石材(天然素材)
C陶器・セラミックス、タイル (焼き物・鉱物焼成品)
Dプラスチックス(ポリエチレン、ガラス樹脂強化プラスチッ  ク・ポリエステル=FRP)
 これらの中で、手入れ、洗浄に一番手間のかからないのがステンレス、次いでプラスチックスですが、どれもこれも材質に一癖あって、一筋縄ではゆきません。

1.木質の浴槽
 家庭用の風呂といえば、風呂桶という言葉が一般にあるように、江戸、明治を経て昭和の40年代までは、桶=木質が主役でした。ステンレスの浴槽は昭和の30年代、1956年に公団住宅に設置されたのが最初です。これが、木質からステンレスへと置き換わってゆく始まりです。ステンレスとほぼ同時代に、プラスチックスの材料も現れ始めます。
 木質の場合、はじめは桶の形式で小判型のものと、平板でつくる箱型のものとがありましたが、浮世絵に残る江戸時代の浴槽は風呂桶がはるかに多かったようです。作りやすかったのでしょうか。今日では、木質の浴槽の多くは、どちらかといえば、趣味の域にあって、ぜいたく品ですので、ゆったりした箱型のほうが多く見受けられます。
 木質は木の香りを非常に大事にします。特にヒノキ、ヒバ、コウヤマキの場合はそれが生命でもあります。さらに、木質の特性である色、木目の美しさも見逃せません。したがって、浴槽の手入れでは、これらの木の香り、色をいかに保存するかにあります。
 木材は長く湿気に曝されていると、材質の特性が失われ、腐敗へと進行し、黒カビの発生もあります。手入れには適度の乾燥が必要ですが、過度の乾燥は、これまた逆効果になります。長期間、浴槽を使用しないときには、湯を抜いて乾かした後、バケツに水を入れてふたをしておくようにと、メーカーは注意しております。木質の場合は、吸着というか、木材の微細な穴に浴液、汚物が入り込みます。これが一つの欠陥であるため、たわしなどで丁寧にこすり、洗うことですが、最近は、この微細な穴に入り込まないように表面処理して微細な穴をふさいでしまうこともあります。
 手入れでは、入浴後その都度、早めに湯を抜いて浴室の換気をすることが望まれています。しかも、タオルで水気をぬぐっておくことです。早めに用済みの湯を抜き、湯とともに浴槽内の汚れの物を洗い流しておくというのは、どの浴槽でも共通であり、浴槽手入れの基本ですが、木質の場合のみ、浴槽そのものに乾燥が求められます。他の材料では、こういうことはあまり問題になりません。
 たとえば、ヒノキの浴槽は水漏れの保証が5年ぐらいですが、この時期になると、ヒノキも大分傷み、あめ色に変色してきたり、黒カビが出てきたりもします。ヒノキの浴槽メーカーは、「まったく掃除しなくても美しいまま使える浴槽なんてありません」「年月の経過に伴う汚れについては、保証の対象外です」と、手抜きを戒めています。
 浴槽のカビ、あるいは変色に漂白剤を使うことは好ましいことではなく、着色するまでに放置しないで、それを防止するのが基本であり、上述のように早めに湯を抜いて乾かすことが先決であると説明しております。不幸にして、黒カビの発生、あるいは着色に気づいた場合は木質の侵された表面をこすり取る目的で、表面を研磨剤系洗剤で洗うことになります。ひどいときは鉋で削り取ることもあります。この場合、注意することは、最近は既述のように表面処理をして木質部にプラスチックスを染み込ませて耐久性を向上させた材料があるため、この材料には研磨剤系洗剤の使えない場合があります。種類の確認が必要です。この表面処理した浴槽は、もともと着色したり、カビの発生することは少ないようです。

2.金属系(ステンレス、ホウロウ)の浴槽
 1953年ごろに出現したステンレス浴槽は、風呂の技術革新として、風呂場のイメージを大きく転換させました。ステンレス浴槽は強度と言うか、耐衝撃、耐久性という点では、まさに革命的で、さらに、汚れにくさ、洗浄のしやすさ、それに伴い衛生的であることは木質浴槽の欠陥を塗り替えました。
 手入れの簡単なことが、このステンレス浴槽の特徴なのですが、やはり排水後、こまめに拭き取ることは肝要であり、ずぼらをしないことです。
 浴槽の汚れと言うと、大部分は垢、石鹸かす、皮膚のはがれなどの付着で、微生物の栄養分にもなります。これは金属表面にも付着しますが、風呂用洗剤がもっとも効果的に使える場面です。使用済みの落とす湯で浴槽壁をスポンジで洗いつつ、流してしまえば、無機物の結晶が付着することは防止できます。不幸にして結晶付着が発生していることに気づかれた場合は、擦り取るか、酸性洗剤によるか、いずれかを選びます。クエン酸や酢酸を染み込ませたスポンジたわしが出ていますが、ざらつく結晶の除去にはやや時間のかかることがあります。
 最近は金属表面をソフトにカラーコーテイングしたステンレス浴槽が出回っております。金属の冷たい感じを取り除き、暖かい柔らかな感じが出ております。この場合、無垢のステンレスと同様に研磨剤入り洗剤でごしごしすることには問題がありそうです。浴槽の注意に従ってください。
 ホウロウと言うのは、本体は鋼板または鋳鉄であり、強度のあるガラスで包んでおります。最近のホウロウ浴槽は鋼板で、たとえば、タカラスタンダードの高品位ホウロウは、強度に特に配慮されており、ごしごし金属たわしでこすっても大丈夫と説明しております。ただし、銘柄によっては異なる場合もありますので、鋼板ホウロウすべてに共通とは限りません。

3.大理石・石材の浴槽
 天然の大理石浴槽はこのところ、減少気味のようです。この天然大理石というのは化学的には炭酸カルシウムであり、大理石浴槽は入浴剤「延寿湯温泉」はじめアルカリ系入浴剤によって表面の光沢が失われる恐れがありますので、入浴剤は使用できません。  
 大理石は表面が比較的軟らかいので、粗い研摩剤洗剤は使えませんし、プラスチックスのスポンジたわしにも傷をつけるものがあります。なお、人工大理石の浴槽と言うのは、通常はプラスチック製で、アクリル樹脂を使っているものが多く、天然とは別です。
 石材と言うと化学的に安定しているかのごとくですが、大理石や石灰岩は無機化学の材料になるように化学的には意外と弱く、アルカリ性・酸性洗剤で表面の光沢が落ちたりすることがあります。また、柔らかい石材では強く磨くと、表面に傷がつきます。大理石以外の石製では値段が1千万円するものもあって、御影石ほか、いろんな石材を用いた浴槽が散見されます。なかには鉄分が含まれているので着色に注意してくださいという石材もあります。手入れに当たっては、石材の種類を確かめ、使用上の注意に従い、方法、洗剤を選んでください。
 陶器の浴槽もありますが、これは強度に欠陥があって据付も難しく、しかも高価ということもあって、一般には普及しておりません。手入れ・洗浄には茶碗や料理容器と同様に考えれば、扱いにくいけれども、この面では楽な素材になります。
 強度の大きいセラミック製もあります。現在は少ないようですが、この場合は、洗剤の使用、磨きなど手入れには寛容になっています。

4.プラスチック浴槽(FRP)
 最近の浴槽の大部分はFRPによるプラスチック浴槽です。この材料は1954年にアメリカで開発され、国産第一号は1957年に東洋陶器鰍ノて製造・販売されています。
 家庭やホテルの浴室をユニット化する動きがあって、このFRP浴槽は、最適と評価されユニットバスの普及とともに早々から大きく伸びました。
 FRPの素材はガラス繊維とポリエステル樹脂(PET)なのですが、ここに上述のアクリル樹脂の人工大理石も加え、樹脂浴槽と一括して称する場合があります。樹脂製はこの20年で浴槽の主流となりました。
 家庭用浴槽の材質は、やや古いデータですが、全体の比率は次の表のとおりです。
      合計     樹脂  ステンレス  ホウロウ
1975年  208万台   47.9%   24.6%   27.5%
1995    81.6万台  71.7%   20.3%    8.9%
 この表は、TOTO出版による「お風呂考現学」によりますが、家庭用浴槽の総量が減少しているのは、浴室ユニットという、ホテルにてよく見かける浴槽と浴室が一体化されて据え付けられるタイプが急増しているからです。
 さて、このタイプの手入れですが、不要の湯を早く落とし、その場合、落とす湯で十分、浴槽内の汚れを洗い流すことです。湯を抜いた後は、シャワーの湯をかけ、タオルのような柔らかい材質の布、あるいはスポンジで拭いて、水分を取っておきます。乾燥させるのは、浴槽の保護と言うよりも、浴室全体のカビ発生を防止することを目的としております。
メラミン樹脂の付着したスポンジは表面に傷のつく恐れがあるというので使わないようにとメーカーは注意しております。
浴槽用のクリームクレンザージフ バスクリーナーは、いわゆる浴室用の研磨剤入り洗剤であって、浴槽メーカーは推奨しております。しかし、研磨剤入りのクリームクレンザーは、しつこい汚れには最適なのですが、強くこすると表面に傷のつく場合、あるいは表面に光沢の出過ぎることがあり、使いすぎには要注意となっております。
磨き砂、粉末クレンザーのように、粗めで、こすって汚れを取る材料は傷つきの原因となるので、使用できません。表面に傷がつくために、使っていけない材料はこの粉末研磨剤系以外に硬いスポンジ、金属たわし、ナイロンたわしなどがあります。
 酸性のきつい洗剤は、たとえば、サンポールのようにトイレの掃除などに使われている洗剤は浴槽向きではありません。結晶の付着したとき、クエン酸や酢では穏やか過ぎるので、強い酸性の材料を要望される場合がありますが、やや時間はかかるものの、できるだけ穏やかなクエン酸配合の浴槽用酸性洗剤の使用をお奨めします。また、酸性やアルカリ性と表示している洗剤には、FRP樹脂を着色してしまう心配がありますので、使用後はすぐ洗い流すなどの配慮がいります。トイレと違って風呂では酸やアルカリ液の身体付着の心配があるため、性質の強いものは、できるだけ使用を避けるべきです。
 接着剤や粘着テープによるしつこい汚れには、シンナー、アセトンのような有機溶媒を使うことがあります。表面が鉱物質のガラスや金属には効果的ですが、FRPのようなプラスチックスには使用できません。有機溶媒はプラスチックスに浸透して着色させたり、表面を劣化させることがあります。浴槽には有機溶媒を近づけないことです。
 FRPの浴槽そのものにはカビが生えて黒くなるようなことはまずありませんが、浴槽と壁面、床との間隙にコーキング剤(充填剤)を詰めたとき、ここにカビの生えることはあります。カビにはカビとり剤が効果的です。FRP浴槽は化学的には強い材料であり、これが直接カビ取り剤に冒されることは少ないのですが、変色防止のため、長時間の接触は避けたほうが安全です。カビ取り剤というのは、目的外のものに付着した場合は、すぐ洗い流しますが、狙っている黒カビのある場所に散布した場合、すぐ水で洗い流してしまうと効果はなく、20〜30分ほっておきます。なお、風呂場のカビについては、本紙35号(2006年7月)にて特集しておりますので、ご覧ください。

 最後に くどいように申し上げますが、浴槽の手入れの基本は、
@用済みの湯は早めに落とす
Aその湯を使って、汚れ物が浴槽壁面に付着して残らないよう
浴槽洗剤で洗う
B最後に、シャワーのきれいな湯をかけて、拭き、乾かしておく
 ことです。着色、結晶の付着はこれにて通常は予防できます。

 入浴剤 延寿湯温泉は、天然素材の生薬粉末が材料であり、無機塩類も入っておりますので、着色、結晶付着には余計にご注意いただきたく、くれぐれも防止にご配慮ください。

<参考書>
江夏弘:お風呂考現学、TOTO出版(1997)
早川美穂:お風呂大好き、生活情報センター(2004

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【延寿通信】 2008年03月11日(火)

延寿通信 第55号 2008年3月

風呂に入って本を読み、ラジオを聴く

 お風呂と読書


延寿通信  55号  2008年3月  

風呂で読書して、ラジオを聞く

女優の栗山千明さんは、元気の秘密は風呂が長いことにあり、「帰宅したらとにかくお風呂に入りたい。あまりに気持ちよくて、すぐに時間がたってしまうんです」と、お風呂を礼賛しています。そのうえ、風呂では読書に熱中、腰まで湯を張り、浴槽に半分ふたをしてひじを乗せ、小説や漫画を読みふけるのだそうです。
同じように、女優の佐藤寛子さんも電車の中で、お風呂の中、ベッドの中で読書にふけるとのことです。
風呂で読書される方は意外と多いのではないでしょうか。
風呂で読める本の出版は増加しており、一方では風呂ラジオという商品も電気屋さんには各種並んでいます。風呂で音楽を、スポーツ番組をと楽しんおられる人もいます。
風呂は湯に漬かって汗を流すだけではなく、心身リラックスの場として、ゆっくり、ゆったりする憩いの場所に変わりつつあります。

1.風呂で読む本
 湯や、水は本の大敵です。本は湿気を最も嫌うのですが、その本が風呂でも大丈夫となると,一体この本はどこが違うのだろうかということになります。
 風呂の本の材料は、すべてプラスチック製で、塩化ビニールが多いようです。塩化ビニールは美麗な印刷が出来るのが特徴です。また、比重はプラスチックスのなかでも大きい部類に入り、風呂の湯では沈みます。ほかに発泡ポリスチレンによるものや、ポリエチレン系もあります。この2者は、いずれも軽く湯には浮きます。子供の絵本などは、この系統が好まれます。
 問題は本の綴じる部分にあります。ページが少ない場合は熱接着している本がありますが、接着方式は厚みによっては扱いにくいときがあるので、リング式にして束ねて、接着を避けている本もあります。これですと開きやすく、閉じるのも簡単です。
ステンレスで留めている本もあります。
風呂で読む本は、「風呂用」と標榜している本を確認してお求めください。
参考までに、水に濡れても大丈夫という印刷物には、ハイキング用の地図があります。印刷は鮮明であり、雨にあったら、かぶって、傘の代わりにしてくださいとも書いているほどです。

2.風呂ではどんな本が読めるか
 この世界で実績のあるのは、世界思想社(京都市)の「風呂で読む・・・」シリーズで、1993年から出版されております。世界思想社(京都市)というのは学術書出版には定評のあるところです。シリーズは日本の古典文学、文学、および中国の古典文学が中心であり、内容はやや硬いのですが、著者はその道の一流の方々が並んでおります。
 「風呂で読む・・・」の最新刊は2000年ですので、このところ出版は止まっているようです。シリーズには全部で36冊あります。その一部をご紹介しましょう。
入谷仙介:風呂で読む王維 2000年刊 999円
安森敏隆:風呂で読む短歌入門 2000年刊 999円
平居 謙:風呂で読む現代史入門 2000年刊 999円
松平盟子:風呂で読む与謝野晶子 2000年刊 999円
興膳 宏:風呂で読む陶淵明 2000年刊 999円

世界思想社の説明によれば、このシリーズの特徴は「合成樹脂製の特殊紙使用で耐水性抜群、湯水に濡れても大丈夫。じっくり読み味わう知的風呂生活宣言。大活字を使った目に優しいレイアウト」です。
 東京の潟tロンティアニセン社はフロンティア文庫と称して、「風呂で読む文庫100選」を順次出版中ですが、このあと「風呂で読む漫画100選」「風呂で読む時代小説100選」など、風呂シリーズの出版を計画中だそうです。
 このシリーズでは、芥川龍之介「羅生門・蜘蛛の糸」、太宰治「人間失格」森鴎外「ヰタセクスアリス・阿部一族」など、文学作品が多いようです。ほかに、日本の昔話10選、あるいは「源氏物語」全14巻とか、すごい本も並んでおります。1冊1050円。
本シリーズの特徴は、ページの綴じ込み部まですべてが塩化ビニール製になっていること、綴じ込みがリングになっていて、めくったページが収まりやすいこと、などで、他に不要になったら塩ビを処分するから送り返してください、と配慮されていることです。
 風呂で読む本は一般に、古典文学や昔話など、どちらかといえば硬い読み応えのあるものが選ばれております。毎日の入浴習慣で、少しずつでもじっくり読んでくださいというのが出版社にはあるのでしょう。雑誌や漫画週刊誌のように1回ざっと読んだらおしまい、という類の本は見当たりません。
 なお、子供用として、風呂の温度で色の変わる絵本が出ております。これは、小さな幼児が入浴を楽しむようにという意図で作られたもので、おもちゃに近いかもしれません。
 
3.風呂読書の注意
 最近の朝日新聞の特集記事で、入浴の安全が特集され、高齢者の熱い湯の長時間入浴は健康上、避けるように、カラスの行水がお奨めであると書いてありました。これは高血圧症や循環器に疾患を持つ人にも共通しておりますが、熱い湯の長時間入浴は、要注意になっております。カラスの行水もいいけれど、浴室内暖房など、身体を冷やさないような設備が必要になり、そういう環境になっていない場合、風邪ひきが心配になり、一概にカラス式入浴法は奨められません。
 ところが、風呂で本を読むとなると、5分や、10分では済みません。読書に夢中になっていて2時間も入り、指がふやふやになってしまったという方もおられました。しかし、長時間入浴の人は、通常は半身浴ですので、健康上の問題は少ないようです。読み出したら止まらない、という内容の本では、ほどほどにしないと入浴中ではエネルギーの消耗が大きいので、風呂から出てきての読書をお奨めします。
風呂に、古本や新聞を持ち込んで、済んだら捨てるという方法もあります。しかし、普通の紙の場合、いったん水に濡れたら、読みにくくなりますし、紙は変質し、乾燥しても元には戻りませんので、プラスチックの特殊紙でない場合は、紙を濡らさない工夫がいります。本を読むときには、浴槽に半分ほどふたをして、そこに乾いたタオルを敷いて、そこに本を置いて読むのだそうです。しばしば、浴槽の中に、ドボーンと落とすことがあるので、これも要注意です。
もう一つ、風呂という環境は、湯気の立ちこむこともあって、必ずしも明るいとはいえません。長時間では目が疲れます。もともと、風呂用の本は、この点を意識しており、文字は大きくなっております。

4.風呂で聞くラジオ
 風呂で本を読むと、どうしても濡れたりするのがいやで、ラジオを聴くに限りますという方もいます。ラジオもどんどん機種が増えましたし、最近は風呂用のCDやTVも盛んに広告が出てきております。風呂で英語のCDを聞いたり、台所で好きな音楽を聴いたりと、水場でラジオを楽しでいる方がおられます。
たとえば、ソニーの場合、キッチン&お風呂場ラジオ といって、次のような製品が並んでおります。
ICF-S70SP お風呂場でもニュースやスポーツ中継が楽しめる。
      防マツ仕様のFM/AM お風呂ラジオ 5775円 
(防まつ形)
ICF-S79V  調理に役立つタイマーをはじめ、キッチンで料理
を作りながらラジオやテレビの音が楽しめる 7875円  (防滴II形)  
ICF-S75V  お風呂やキッチンなど、水まわりの場所でテレビ     の 音声やラジオが楽しめる。便利なタイマーもつい      たお風呂ラジオ 8190円 (防まつ形)
 電源は電池のものや3電源、4電源というのもあります。
ここではラジオだけを取り上げましたが、TVでは、4電源方式で臨場感を楽しめるステレオ放送対応というのもあります。このテレビは、液晶5型 28800円です。

5.風呂ラジオでご注意いただきたいこと
 ラジオといえば、本と同じように湯、水を嫌いますが、風呂ラジオには独特の防水技術が施されております。防水と一口にいっても、段階がありますので、ご注意いただきたいのは、どのレベルの防水かということです。代表的なタイプを2,3紹介します。保護等級はレベル8が最高で、これは指定の水の中で使用してもいいというものです。通常は4等級ぐらい。JIS規格(日本工業規格)では電気器具の防水の程度を次のように定めており、これらのレベルはそれぞれ風呂ラジオには表示されております。

保護等級 種類   意味
1  防滴I形 鉛直に落ちてくる水滴によって有害の影響がない
2  防滴II形 鉛直から15度の範囲で落ちてくる水滴によって        有害の影響がない
4  防まつ形 いかなる方向からの水の飛沫を受けても有害の        影響がない   
6  耐水形  いかなる方向からの水の直接噴流を受けても内        部に水が入らない  

 もう一つ、電源にはいろいろありますが、コンセントを使う場合は水濡れ漏電の危険がありますので、必ず透明のふたつき防水コンセントをご使用ください。風呂でラジオを使う人が多くなったので、特別に用意されているそうです。

 風呂で読書したり、ラジオを聞いたりする人たちは、残念ながら入浴剤使用にはつながらないようです。長時間の方が多いこともありましょう。冒頭に挙げた女優の栗山千明さんは、入浴剤は一切使いませんと明言されております。しかし、心身を癒すには、五感のうち、目や耳それにもう一つ,鼻で香りを楽しむことも付け加えてください。
 憩いの場所には心を休める香りの役目を大事にしたいものです。そのとき、延寿湯温泉が登場です。
                                                       以上







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【延寿通信】 2008年02月02日(土)

延寿通信第54号 2008年2月

本場 中国の薬湯の歴史

延寿通信  54号  2008年2月  

薬浴発展史―本場中国の薬湯の歴史

入浴剤の処方にはいろいろ系統がありますが、大きく分けられるのは温泉の成分を基準にしている無機塩類の温泉タイプと、もう一つは宗教の香薬に起源をもつ生薬(薬用植物)の薬湯タイプです。
 温泉タイプの入浴剤は、化学の発展とともにあるので、比較的新しく、明治以降の誕生になり、とくに温泉の豊富な日本で育っております。しかし、延寿湯温泉のような生薬タイプの薬湯には古い歴史があります。
 現在の漢方医学、東洋医学の元祖中国では生薬の処方・使用には長い歴史があり、人によっては4000年の歴史という場合もあるほどです。生薬の薬湯タイプにはこの漢方の歴史による古い、古い生い立ちがありますので、簡単に足跡をたどって見ましょう。
 はじめに、使用する用語について説明しておきます。中国では入浴の際に生薬を入れる場合、「薬湯」というよりも「薬浴」という言葉が使われております。ここでは通常は薬湯(くすりゆ、やくとう)を使いますが、中国の例を取り上げるときには薬浴を使います。一方、中国医学では「湯液(とうえき)」という用語がしばしば出てきます。湯液というのは、通常は煎じ薬(せんじぐすり)を意味して、ちょうどお茶のように、生薬を湯で煮詰めて液を内服することを言います。これは中国の医学では基本的な薬の内服方法であって、薬湯とは関係がありません。

1.中国古代の古典の記事
(1)古代の薬浴
 中国では、歴史以前、殷の時代、甲骨の中に「浴」という字が出てきているといいます。この浴という字はもともと廟に祈るために禊(みそぎ)をするという意味からきており、それが今日「湯に入って体を温め、また、洗うこと」の意味になりました。この時代にすでに湯に漬かるということが行われていたことを意味します。
 屈原(BC4世紀ごろ)の『楚辞』は中国文学の源流になっていますが、この『楚辞』離騒の中でヨモギを香りの草として身に着け、大事にされています。これが、5月5日の端午の節句のヨモギ湯につながってゆきます。端午節句の薬湯は民間の習俗で受け継がれていますが、わが国では、この話は菖蒲湯となって武勇に優れた男児の成長を称えます。菖蒲湯は屈原をモデルにしているといわれております。
 『山海経』(せんがいきょう)という本は3世紀頃の中国にて発行された一種の地理書なのですが、なにぶんにも古代のこと、怪しげな鬼神、草木、鳥獣、虫魚などがぞろぞろと登場します。この本の中に、薬湯の記事が出てきます。
たとえば、次のような一文があります。
「竹山という山には頂上に高い木があり、山の北には鉄が多い。草がある。その名をオウカンという、その形状はオウチ(センダン)の如く、その葉は麻のよう、白い花に赤い実をつけ、性状は赤土の如くで、これを湯に入れて漬かると疥癬(かいせん)がなおる」

(2)医療の書『五十二病方』の薬浴
 さすがに中国には医書の古典が沢山あります。その中でも『黄帝内経』は紀元前5世紀で医書の最も古いものとして挙げられますが、ここには薬浴は出てきません。次に挙げられる古い医書が『五十二病方』で、これは紀元前2世紀です。この書はつい先ごろ、1973年に馬王堆の古墳から出土した書物で、世間に出てきたのはまだ新しいものです。
 この書に薬浴が出てくるのです。おそらく、薬浴では最も古い部類にはいるでしょう。参考までに、この頃の日本はまだ文字がなく、弥生時代の穴倉生活で、入浴には縁遠い暮らしをしていました。温泉に漬かる、薬草を入れてみる、と言うことはあったかもしれませんが、何分にも記録がありません。
 『五十二病方』には湯という文字がしばしば出てくるのですが、たとえば、洗浄するために湯を使う、あるいは薬物を湯通しするために湯を使うなどですが、薬浴としては次のような記述があります。
@これはすねの傷が、膿んでつぶれ、膿が流れているのを治療する方法ですが、水に薬用植物を3種(不明)入れて、これを煮て、湯に足をつけるとなおる、という記事です。
A疥癬の場合は桃の葉を水にいれて煮る、3回煮て湯にする。
桃の葉は今日もわが国では薬湯の材料として用いられておりますが、この場合の桃の葉は薬としてよりも、呪術的な使い方であるといわれております。桃という植物は、中国では魔よけの植物として、元日に飲用する習慣もありました。
 『五十二病方』には247種の薬用植物が出てきます。使用例は種々ありますが、外用としての使用では薬浴以外に 軟膏のような貼り薬、烟薫、蒸気薫(薬物を熱であぶりその蒸気をあてる)熨法(薬物を粉末にして炒って患部にあてる)あるいは按摩法なども出てきます。
 唐の時代になると、『黄帝内経』の解釈書がぞくぞく出てくるのですが、薬浴につながりの深いのは、『千金翼方』(652年完成)と『外台秘要』(752年に編纂)です。
 『千金翼方』には女性の美容のための処方なども並んでおります。この場合、入浴というよりも顔はじめ身体各部の洗浄方法に詳しいといえます。もう一つは香りの高い薬用植物を、防虫はじめ暮らしに使ってゆくことも出てきます。

2.薬湯の発展
 薬剤を外用として用いるのは、たとえば軟膏の塗り薬がその一例ですが、これは先の『五十二病方』においても詳しかったように、薬浴と深いつながりがあります。その中には外部から薬剤を処理して、患部に届けようとする工夫でもあります。それが、医療書ではいろいろの風呂の入り方であり、別の言葉で言えば、薬剤の与え方でもあります。
 これは中国医学の外科的療法の中軸で、独特の発展をしております。単に薬剤を患部に与えるだけでなく、清潔、予防、保健などの目的も加わります。この方法を行うためには患者・医師が一緒になってしますので、薬浴は中医外科と相互依存、相互発展してゆくことになります。
 さきほどの5月5日 端午節句の屈原によるヨモギ湯のたぐいが、周の時代には広く民間にも普及します。1年中の特定月に沐浴し、5月に香りのいい植物を煎じて沐浴することもおこなわれました。
 中国の当時の宮廷では香り豊かな植物を袋に入れて池に漬け、冬といえども一定の温度に保って、入浴を楽しむこともありました。温泉に薬草を入れて漬かることになります。温水浴ともいっておりました。
 宮廷外では寺院の浴室を僧侶は仏粗崇拝の場として、沐浴は日常生活に欠かせない重要な修行となりました。浴槽には薫り高い薬草を浸し、寺院の浴室は浴堂といいました。この宗教行事の伝統は奈良時代にわが国にも伝わっており、東大寺や興福寺などにて往時を偲ぶことが出来ます。

3.近代の薬浴
 中国の宮廷や寺院などの限られた人たちによる薬浴は、近代になって人々のなか広く行き渡りました。日常の農家の暮らしの中にも普及しました。薬浴は特定の疾患にというのではなく、疲労回復や精神的な疲れを癒すのにも用いられました。この場合、薬浴にどのような薬用植物が用いられたかについては定められた処方はなく、どちらかといえば、民間医療的に身の回りにある植物、たとえば、桃の葉、ヨモギ、菖蒲など、香りのあるものが愛用されていたようです。
 今日の中国では薬浴は各地で広く用いられており、薬浴の医学書も出ております。しかし、わが国のように入浴剤として特定の処方のものが薬局で一般に発売されているのかどうかは、明らかではありません。

(1) 薬浴の方法
 薬湯、厳密には中国における薬浴では風呂に全身を浸すだけではなく、次のようにいろいろの方法があります。
@蒸気浴 患部に蒸気をあてる
A沐浴法 浴槽の薬湯につかる
B浸洗法 患部を薬湯につける   
C熱敷法 薬液を浸した暖かい布をあてる 温シップ
D冷敷法 この場合は冷たい布による 冷シップ
E熱炙法 薬物を熱で暖めて袋に入れ、患部にあてる
(2)薬浴に用いられる薬用植物の一例
 民間に広まった薬浴では、とくに漢方で使われる薬用植物は用いられませんが、医療の立場での医師のかかわる薬湯では、たとえば肩の凝りや腰痛などの場合には次のような薬用植物が使われます。この中には、わが国の入浴剤で使われる植物とはちょっと異質で、みなれないものがありますが、解説は省きます。
マオウ(麻黄)、ケイシ(桂枝)、ケイガイ(刑芥)、ボウフウ(防風)、シンイ(辛夷)、サイシン(細辛)、ハッカ、ゴボウシ、センタイ、キクカ(菊花)カッコン(葛根)

 漢方の本場、中国では中医学・中薬学の伝統医療は西洋医学の導入とともに融合して、国民の間に展開されており、薬浴は医学の世界でも論じられております。
 入浴剤というのはわが国の独自の製品ではないようですが、本場中国でも、入浴剤の商品を見かける機会が今後、もっと増えてくることでしょう。





<参考文献>
伝維康ほか:中国医学の歴史、東洋学術出版社(1997)
山田慶児:中国医学の起源、岩波書店(1999)
星川清孝:楚辞、明治書院(1972)

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