【延寿通信】 2009年03月02日(月)

延寿通信 第67号 2009年3月

本書は入浴の科学、温泉医療の話などユニークな内容が特徴です。

--阿岸祐幸著「温泉と健康」の紹介

『温泉と健康』温泉と入浴の医療を学ぶ 

このところ、温泉や銭湯あるいは入浴にかかわる書物はたくさん出版されており、本欄でもすでに何冊か紹介してきております。温泉の本といえば、ピンからキリまで多種多様ですが、本年1月に出版された阿岸祐幸先生の岩波新書『温泉と健康』は一味違います。
まさに入浴・温泉科学の本であり、科学的というか、医学の立場で、入浴と温泉医療が親切に説明なされております。阿岸祐幸先生は温泉医学のお医者さんで、長年にわたり大学、温泉医療研究施設で温泉医学を研究され、豊富なご経験、臨床のデータが本書ではベースになっており、温泉そのもの、健康のための入浴・温泉療法が的確に語られています。
入浴や温泉医療にご関心ある方には一読をぜひお奨めいたします。
本書は次のような構成になっております。
@温泉の基礎 A入浴の心身への作用 B温泉療法の意義 C科学的にみた泉質D温泉療法の効果とメカニズム E温泉地周囲と健康づくり
 詳細は本書を手に取っていただくとして、ここでは本書の中でもユニークなところに絞って、温泉へは深入りを避けて、A入浴の心身への作用とE温泉地周囲と健康づくり、を中心に取り上げます。

1.温泉は医療に正しく利用されているか
 本書は温泉医療が中心です。先生の長年の研究は温泉医療ですので、温泉は健康維持、医療に正しく利用されねばならない、というのが本書の狙いであり、その啓蒙書でもあります。日本の今日の温泉は医療には的確に利用されているとはいいがたく、諸外国に比べると、世界のトップクラスにあるわが国の豊富な温泉が宝の持ち腐れのような状態にあると、先生は残念がっておられます。
 一つには、わが国の温泉が休養を中心においており、短期滞在の歓楽型で、医療よりも食事や景観に十点がおかれ、施設が豪華になってきていることです。その結果どうしても利用料金が高くなり、利用客に負担がかかります。
本書では欧米の温泉療法の例、温泉地が紹介されておりますが、先生の目で選ばれたということはありますが、医療という立場での温泉とは、こういうものかと、違いを感じさせます。欧米の温泉では医師が駐在して治療、指導にあたり、さらに治療のプログラムも用意されて、医療施設として十分配慮されています。温泉保養地は歓楽の施設ではなく、あくまでも療養のためにあって、温泉の泉質だけでなく、入り方、温泉をとりまく環境も
含めて、健康のために利用しなければならないのです。
 わが国には古くから湯治ということがあり、今もなお地域によっては連綿と続いておりますが、温泉の利用をちょうど、湯治という立場で理解すると、本書の先生の主張は分かりやすいか思います。

2.入浴の心身への作用
 必ずしも温泉とは限らないのですが、入浴というものが身体に与える影響を医学的に理解しておくことは重要です。この中で取り上げられているテーマは次の通りです。
 身体が軽くなること、静水圧の効果、循環器系統への作用、入浴の利尿作用、望ましい半身浴、水中と空中との温度の感じ方、入浴と高血圧、活性酸素防御機能、熱ショックたんぱく質、高温浴と血栓、入浴の心理的効果
 これらの中から、興味深いところを2、3 取り上げます。
(1)循環器系統への作用
 水の中に身体をつけると、水圧が加わり、身体は圧迫されてきます。静水圧というのは水圧のなかでも、流れていない水の圧力をいいますが、通常は水圧という用語で済ませることもあります。静水圧は水にもぐったとき、10メートルの深さで1気圧といわれております。立ったまま、風呂に浸かると、体表面が1.4平方メートルの場合、560kgの水圧がかかってきます。これは非常に大きな圧力であり、このために、身体は圧迫されて縮んできます。10分間浸かっていると、男性の場合、腹囲は4センチ縮むというデータがあるそうです。これだけ水圧がかかってくると、体内の血液循環にも影響が出てきます。静脈は柔らかいので、伸び縮みしやすく、水圧が加わると静脈は圧縮され細くなります。
手足、皮膚、腹部の静脈血液は心臓に向かって移動しはじめます。このことを「静脈還流が増える」といい、心臓に負担のかかることを示しており、もともと心臓に障害を抱えている人には好ましいことではありません。しかし、これが半身浴であると、立っているときの数字とさほどかわりないため、心臓への負担は大きくないそうです。全身浴といって首までどっぷりつかって、長時間入っているのが心臓に良くないのであって、この入り方を改めれば、さほど心配はありません。
(2)入浴と血圧
心臓の負担を減らすさらに好ましい浸かりかたは「寝浴」といって、浅い浴槽で寝るような姿勢で入ることです。いわゆる洋式の浴槽が、この「寝浴」用になっており、最近もわが国の風呂桶の主流になってきているようです。寝浴ですと、循環器系への影響は少なく、手足を十分に伸ばせるので、筋肉や関節の緊張が緩む、さらに、心理的にリラックスできる、薬効成分の体内への吸収が多い、など半身浴にくらべて利点があります。
入浴と血圧との関係では、湯の温度によって血圧は影響されますが、39度以下のぬるい湯ではほとんど変わらず、次第に低下します。逆に42度以上の熱い湯の全身浴では入浴直後に血圧は上昇し、血管も収縮するので、血圧上昇値は大きくなります。2~3分たつと、血管は拡張するため、一旦は下がりますが、次に内臓や筋肉の血管が収縮して平常時の数値にて血圧を維持しようとして血圧低下は止まります。

3.温泉の環境が健康にプラスになっている
(1)保養と休養
 温泉に出かける目的には休養と保養とがあります。先生は「休養」と「保養」という言葉を次のように使い分けておられます。
「休養」とは休み、養うこと、1〜3日程度の期間で,日常生活で生じたストレスや疲労を取り除くことが目的となります。一方、「保養」とは、1〜3週間ほど滞在して、休養に加えて次の活動のために体調を整え、体力増加や健康増進を目的に積極的に行動することです。
 本書では、「温泉療法」という用語が使われておりますが、「療法」は病気治療の手段・方法であります。「温泉療法」にはわが国の湯治も含まれます。  
温泉療法は温泉に浸かるだけではなく、食事療法、運動療法を組み合わせて、広く解釈する場合もあります。本書では、後者にあって、温泉保養地医学という立場で、温泉療法が取り上げられております。
 温泉地の環境が健康に役立っていると言う見方はユニークであり、本書独自の内容でもあります。
(2)森林浴とテルペンの効果
 温泉のある場所といえば、通常は都会から離れた、緑深い山の中、あるいは日光さんさんの海辺などが浮かんできます。緑の中では、とくに森林浴は心身をリフレッシュさせる健康法として定着してきました。うっそうと茂った緑の中を散策するのは、手軽に出来る健康法の一つであり、このような環境にある温泉地では、単に温泉に浸かるだけでなく、緑の散策を奨めておられます。特に、先生はアロマテラピーの中でも、森林の精油、テルペンの心身に与える効果に目を向けておられます。
 テルペンというのは、いわゆる植物の芳香性精油成分を言い、爽やかな心休まる香りの
いい精油の大部分が、この中に含まれます。森林の中を歩いていて、気分が爽快になるのはこのテルペンのせいで、「フイトンチッド」ともよばれております。たとえば、竜脳(ボルネオール)や樟脳(カンフル)はテルペンを代表する仲間です。生薬の世界ではテルペンは大事な精油成分でもあり、縁が深いのです。ヒノキや杉の仲間もボルネオールを含んでおりテルペンのいい香りを発散します。参考までに入浴剤「延寿湯温泉」の香りはこのテルペンであり、ボルネオール、カンフルが働いております。入浴剤にテルペンが入っているというのは非常に珍しいです。
 海岸の温泉では海の自然療法としてタランソラピー(海洋療法)が取り上げられていますが、ここでは略します。

<参考文献>
阿岸祐幸:温泉と健康、岩波書店、東京(2009)

ご覧下さい!
『釈ビューティ』(ワニブックス)が1月に出ました 著者:釈由美子さんのお話
「ダイエットやビューティは女性にとっての永遠のテーマでもあるし悩みは尽きないもの・・・・。だからモット美しく、モット健康的に向き合っていきたいですよね。今回、初めての美容本を出せていただくにあたり、読んでくださる方に精一杯の感謝の気持ち込めて、今、私が持っているすべてのビューティ法や、おすすめの商品を「これでもか!」っていうくらい 1冊にぎゅっ!!とたくさん紹介させていただきました」(あとがきより)
<この本の56ページに 入浴剤「延寿湯温泉」が紹介されております。釈由美子さんの写真がいっぱいの楽しい本です。 延寿通信編集部> 

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【延寿通信】 2009年02月03日(火)

延寿通信 第66号 2009年2月

乾燥注意報とは?

乾燥からお肌を守りましょう

乾燥から肌を守る 
今の季節、気象情報では各地で「乾燥注意報」がしばしば出ています。通常、わが国では、11月から3月ぐらいまでが、乾燥しやすい季節になっています。
乾燥注意報が出ると、先ず、火の元点検です。火災の起こりやすい状態になっているからです。それから、インフルエンザ、かぜのウイルスが暴れ始めますので、予防対策です。外出時には要注意となります。マスクをお忘れなく。そして、もう一つが、皮膚への影響、特に女性では、肌荒れ、皮膚がかさかさになることを防止しなければなりません。乾燥から皮膚を守るためには、まず保湿剤を。そして刺激の少ない石鹸が効果的な場合がありますし、時には入浴剤の使用もお奨めできる場合があります。

1.なぜ空気は冬に乾燥するのか 
天気予報の番組では、このところ、大雪警報、風雪注意報などのほかに、乾燥注意の警告が多くなりました。冬になると、シベリヤから非常に温度の低い寒気団が到来し、それが湿気を雪にしてしまうので、残った空気はどうしてもからからの乾燥状態になります。ちょうど、冷蔵庫の中の食品が湿気の凍結で乾燥してしまう現象と似ております。食品や医薬品の加工で、液体を固体の粉末にするときに凍結乾燥といって、液体を凍結して水分を飛ばしてしまう方法がありますが、これも同じ原理です。
シベリアからの冷たい季節風が日本海の暖かい対馬暖流の上を渡るとき、大量の蒸発した水を含んで上空で冷え込み、これが高い山にぶつかって地上に雪を降らせ、水分の少ない空気だけが山を越えて太平洋側に降りてきて、空っ風をもたらします。冬の典型的な気象現象です。からからの寒い天気は太平洋側で、日本海側は逆に雪がもたらされ、積雪もあって、湿度の高い寒い天候になります。太平洋側は加湿器が、日本海側は除湿機がそれぞれ使われることになります。冬の乾燥気候は全国的な現象とみなすのではなく、太平洋側と限定しておいたほうが理解しやすいでしょう。

2.乾燥とはどういう状態か
湿っぽい状態とか、乾燥している状態というのは、比較的容易に体験できるので、いまさらくどい説明は要らないでしょう。
空気が乾燥していると、身体の表面からの蒸発は盛んになります。また、静電気の発生もあちこちで見られます。衣服を着替えるときのパチパチという放電、ホテルなどで室内の金属部分にて起こるパッシとくる静電気による軽い衝撃はよく経験されるところです。
気象関係では空気が乾燥してくると、乾燥の注意報が発せられます。それがどういう状態であるかは、気象庁のデータを見ていただきます。さすがに関東地方は上州の空っ風で表現されているように、乾燥状態は関西地方に比べると厳しい数字になっております。関西に比べると関東地方は乾燥しやすい地形にあるためかと思われます。
乾燥注意報は、どちらかいえば、火災予防に主眼がおかれておりますので、体感よりも環境の乾燥に目が向けられています。乾燥注意報の出る判定基準は、各地の土地の様子、地形によって数字は異なります。
たとえば、関西・関東の一部の例を示します。
兵庫県南部(神戸、淡路島) 最小湿度 40%で実効湿度 60%
京都府(北部・日本海側)  最小湿度 40%で実効湿度 70%
東京23区         最小湿度 25%で実効湿度 50%
埼玉県           最小湿度 25%で実効湿度 55%
神奈川県          最小湿度 35%で実効湿度 55%
ここに出ている最小湿度とは相対湿度をいいますが、その値が1日でもっとも低い数字をいいます。通常は午後2時〜3時ごろに相対湿度は低くなります。一方の実効湿度は、木材の乾燥具合を示しており、当日、前日の平均相対湿度を用いて計算されます。この実効湿度が60%より低くなると、乾燥状態が進んでおり、火災が発生しやすくなります。

3.乾燥と健康
(1)ウイルスの活動が活発になる
先日、関東地区の老人医療施設で、多数のインフルエンザ患者発生が問題になりましたが、この場合の原因の一つは院内の湿度が10〜20%と、かなり乾燥した状態になっていたため、ウイルスの動きが活発になったからであると、説明されておりました。
ウイルス感染を抑えるには、湿度を50〜60%ぐらいに保つ必要があります。病院側では余り湿気を高めると、一般細菌、カビの発生が懸念されると言っておりましたが、確かに、多湿状態では、ありうることです。梅雨時のじめじめした気候を想像してください。
室内の乾燥した状態を改めるには、加湿器という便利な器具があり、家庭にも普及してきております。加湿器というのは、ただ設置すればいいというものではなく、衛生的に、かつ安全に働かすにはそれなりに管理が必要です。
加湿をいつでも、だれでも手軽に出来る方法が濡れタオルを掛けることです。また、観葉植物を置くのも一方法です。
目下、インフルエンザウイルスの侵入には死亡率の高い鳥インフルエンザのこともあって、世界の国々がピリピリしており、防疫対策が練られております。我が国でも、これは同じであって、外出時には人ごみには出ない、マスクをする、手を洗う、を奨励され、生活環境の改善では乾燥状態を避けることが推奨されております。
(2)皮膚と乾燥
乾燥の健康への影響で、目に見えて怖いのは皮膚への影響です。皮膚はなんと言っても、からだの保護防御材(バリヤー)であり、体内の組織を一定の環境に保つのに働いており、身体に危険なものが接近・侵入しないように守っております。皮膚は寒冷のみならず、猛暑に耐え、紫外線を遮断して、その上、打撲や衝撃などの外圧からも身体を保護しなければなりません。皮膚のバリヤー機能は、乾燥と寒さで低下してくるので、冬にはアトピー性皮膚炎は悪化しがちといいます。
一方、肌荒れ、肌の乾燥というのは、デリケートなご婦人の肌には、少々の乾燥環境でも障害の起きるのは早く、そしてひどく現れる場合があります。
肌荒れは、皮膚の乾燥によるといいますが、皮膚の老化も無関係ではありません。
乾燥肌を予防するには、保湿剤を塗ること、これが手っ取り早い方法です。予防については後に詳しく触れます。
(3)体内の水分不足
 一昔前まで、激しい野外の運動の後、運動中には水分の補給は禁物でした、それが最近は逆になって、汗かいたり、激しい運動中は体内の水分不足に陥ちいらないよう、どんどん水分の補給をするようになりました。空気の乾燥しているときもしかりです。体表面から水分は失われてゆきますので、十分の水分補給を必要とします。通常は、口が乾いてくるので水分が欲しくなってきます。水分の補給が十分でないと、血液の濃度に影響して血流障害を引き起こすことがあり、その結果、循環器系統に障害を抱えている人では、最悪の場合には脳血管障害や心不全など好ましくない影響の出ることがあります。

4.カサカサ肌の予防
かさかさした荒れた肌は、乾燥肌といわれるほど、乾燥には深いかかわりがあります。
若々しい肌、しっとりした肌を保つために、どういうことをしなければならないか、考えてみましょう。
@皮膚に栄養を
 皮膚の健やかな状態を保つために、栄養クリームとか、乳液など、皮膚に栄養を与えるクリームはいろいろ出ております。最近は健康食品でも宣伝されておりますが、一部の高分子たんぱく質などは果たして皮膚の表面から吸収されるのか、疑問を抱く場合もあります。皮膚のビタミンぐらいでいかがかと思うのですが、これも一概には良否を判断しにくいものです。
A皮膚を清潔に
 身体に汚染物を取り込まないように、皮膚は防壁として働いているだけに、汚れ方もひどいものです。皮膚の表面からの刺激の少ない石鹸をつかって、つねに表面を洗い流しておくことが望まれます。肌荒れの原因の一つになる場合もあります。ただし、ごしごしと荒っぽく洗うのは、逆効果で、皮膚表皮を痛めるので良くありません。
B紫外線照射を避ける
皮膚の老化、かさかさ化の最大の敵は紫外線といいます。紫外線を避けることは、さほど難しいことではありません。日光に露出しないことですので、気軽に実行してください。
日傘の利用は夏だけではなく、最近ではオールシーズンになりつつあります。
C血液の循環を円滑に
生薬配合の入浴剤には血流改善の成分が含まれている場合があります。たとえば、カンピ、マツカワ、センキュウ、ショウブ,リョウキョウなどですが、こういう生薬成分の配合されている入浴剤に浸かるのは皮膚の健康には有効です。
D保湿剤の利用
保湿剤には刺激のある場合もあって、一様にとはゆかない場合もあります。さらに、保湿剤の種類は非常に多く、作用の仕方も異なります。たとえば、アトピーの人は、風呂上りに保湿剤を使うことは多いのですが、皮膚に合う、合わないがあります。数ある中でどのタイプの保湿剤を使うかは医師との相談を奨めます。とくに、敏感肌の人や、赤ちゃん、肌に炎症が起きている場合などは専門家による診療が欠かせません。
水を沢山飲んだら、皮膚がしっとりしてきます、という話は笑い話であって、口から入れた水では、皮膚の水分補給は出来ません。水は外から補います。かさかさしてくるのは、皮膚の構造の一部、角層が水を保持する機能が年齢とともに減少するからです。そのために、保湿剤を皮膚に塗ることは効果的です。水にさらさらしているのがクリームで、油脂の入っているのが軟膏ですが、これはべたべたします。両者は季節によって使い分けます。
保湿剤の有効成分は多々あります。保湿剤には水分の蒸発を防ぐタイプ、皮膚に水分を保つタイプとがあり、生体系、動植物性、多価アルコール系などがあります。最近好んで使われるのが、生体成分に近い生体系物質です。激しい宣伝合戦も行われてり、どれがいいかは、相性もあって決めがたいのですが、余り余分なものが入ってないのがいいでしょうと医師は書いております。毎日2,3回も使うものですから、経済性もいります。
乾燥して荒れてしまった皮膚の症状となれば、専門家の治療を受けることになります。そのようにならないようにひどくなる前の措置では、上述の保湿剤の使用が効果的ですが、普段から、刺激の少ない、皮膚にやさしい石鹸を使うことも予防策になります。たとえば、延寿石けんは、添加剤に化学物質を含まず、穏やかな天然素材で出来ており、皮膚の保護には効果的です。
E入浴の効果
アトピー性皮膚炎の症状は心身の影響を受けやすいといい、また、顔色が心の鏡のごとく振舞うことがあるというように、皮膚は心身の状態から無関係ではありません。時にはゆったり入浴して、心身を休め、皮膚も休ませてください。また、入浴で乾燥から皮膚を守ることも必要でしょう。


<参考文献>
飯田睦治郎:日本の気象、椛ヌ社、東京(2005)
田多井吉之介ほか:健康歳時記、蒲L斐閣、東京(1979)
田上八朗:皮膚の医学、中央公論新社、東京(2003)
気象庁ホームページ

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【延寿通信】 2008年12月27日(土)

延寿通信 第65号 2009年1月

お正月には欠かせない松の話

ー入浴剤にもマツです


延寿通信  第65号  2009年1月

松 

門松、松の内、年の初めは松の木がお目出度のシンボルとして喜ばれます。
縁起のよい樹木の集まり、松竹梅というのは中国伝来だそうですが、とりわけ松は縁起のよい樹木の筆頭にあって、木そのもののみならず、暮らしの中にも、お目出度いときには登場します。
樹木としては、その見栄えの良さもあって、神社仏閣だけでなく、邸宅、公園の中心木として植えられ、各所で大事にされております。
また、古く中国では松葉は仙人の食べる物として大事にされてきました。この伝統は日本にも引き継がれました。長寿の仙人が好んで食べた物となると、松の葉にはおそらく延寿効果があって、クスリとしての効能があるのではないかと想像されます。
入浴剤においても松は、松葉の湯というものがありますが、なんといってもイヌカラマツ(別名:マツカワ)が代表格です。最近ではフランスから海岸松が到来して、健康食品の世界で張り切っております。

1.門松と松竹梅
 正月行事、神事などお目出度いときには、松が真っ先に出てきます。門松は正月を迎えるためには欠かすことが出来ません。つい先ごろまで、正月の庶民の家々の門前には小さな松が飾ってあったものですが、緑保護の立場から、これは、やがて印刷紙に代用されました。今ではこの代用品も消えて民間の家では門松、松飾りはめっきり減り、もっぱら公共の場,商店街に移りました。
 門松を正月に門前に立てるのは、内側は神域で、邪気を払い、汚れを避けることを意味して、神聖な正月の神様を迎えるためであるといいます。これによって、立てた側の家族は一同の多幸、長寿、繁栄を祝います。もともと、松の高木は、天から神が降りてくる、厳粛にいえば降臨される依代(よりしろ=神霊が一時的に宿る)であるといわれております。門松は中国から伝わってきて、わが国では起源が平安時代で昔は正月に限らず、流行病の多い夏などにも立てられていたそうです。
元日から7日まで、正月の期間を松の内といいますが、これは、1月6日か7日に門松が取り除かれますので、それまでの門松の出ている間のことをいいます。松の内の間は、いわゆる正月気分の許される期間で、江戸では銭湯は早仕舞いと決まっていました。ただし、門松を取り除くのが15日である地区では、この時点までを松の内というので、期間は長いようです。
松竹梅はお目出度の象徴です。古くからの伝統を重んじる家では正月の床の間に松竹梅の三幅対の掛け軸を飾ります。室町時代では、元旦が松、二日が竹、三日は梅と、日ごとに変えて飾るのが決まりだったようです。床の間に生け花で松竹梅を飾る場合もあります。
松が筆頭になって、松竹梅を盛り立てているのは、一説には、中国道教由来というのがあります。日本では奈良時代から、松竹梅をお目出度いものとして、絵画や工芸品に盛んに用いられるようになりました。なぜ、松竹梅がお目出度なのかというのは、諸説ありますが、植物のそれぞれの特徴を生かして、松の操、竹の直、梅の香りを重んじて、松は長寿、家運の繁栄、竹の子孫繁栄、梅は君子の徳をあらわすといいます。寒中に緑の操を変えない気高さを示す松、素直で強い竹、凛として寒中に咲く梅、が讃えられます。

2.クスリに登場する松
松は、仙人が好んで食事に用いていたというのです。これが長寿の源泉であり、身軽な行動にも役立っていたようです。しかし、松はおいしそうでもなく、一般人の口には合いません。江戸時代、凶作の年には松の葉、松の樹皮が利用されたこともありました。通常は食料にはならないのですが、薬としては大事な位置にあります。
薬用植物の図鑑(牧野和漢薬草大図鑑に収載)で、薬用のマツ科植物を引いてみると、次のような松が並びます。漢方の世界ですので中国産地のものが出てきます。
・アカマツ(赤松)  日本全土 葉を使う
・バビショウ(馬尾松)中国産 日本にはない 葉以外全体使う
・ダイオウマツ(大王松)もともと北米産であったが、明治末に
渡来  松脂を使う
・フランスカイガンショウ ヨーロッパ海岸 日本にはない、松脂、樹皮
・ユショウ(油松)中国産 日本にはない  全体が使える
・イヌカラマツ(金銭松)中国産 日本にはない  樹皮、根皮
 ここで取り上げたのは、主として漢方処方に基いて使われる医療の場合ですが、松は、何分にも、山野にて目立つ重要樹木でもありましたので、民間医療として、多方面に使われておりました。
 松は民間療法では一般に強壮薬として使われておりますが、これは仙人の食事につなが
ります。中国の古典医書では、できもの、打撲傷、手足のしびれ、中風、高血圧、下血出血、切り傷、淋病、神経痛などが松の効能としてあがっております。
 茯苓(ぶくりょう)は松そのものではなく、主として赤松の根に寄生する サルノコシカケ科の菌ですが、大きいのはバレーボールぐらいになることもあります。茯苓は、中国では古くから貴重な医薬品として用いられてきて、いまもなお漢方医療では多くの処方に出てきます。日本薬局方にも収載され、鎮静、利尿などの効果があり、また、婦人科疾患に良く使われる桂枝茯苓丸の主薬にもなっております。
 江戸時代の医書に、松の葉は胸腹につかえているものをすっきりさせる、便秘にいい、痰や咳のひどいとき、脾胃の弱っている時などに、効能益あること少なからずと書いてあります。今日も、松の葉は健康補助食品として利用されております。
松脂は、これはこれで用途広く、『本草綱目』という中国の古典では皮膚病に使うことを推奨しております。松脂は別名ロジンですが、今日では工業原料として、用途は広く医薬原料であるテレピン油、クレオソートなどが作られております。ロジンは局方にも収載されております。
 松脂の精油(テルペン油)は不飽和脂肪酸が多いので、血中のコレステロールを下げ、胆石の薬として使うこともあったようです。
 薬の対象となる松はわが国で最も馴染みのある赤松と黒松です。ただし、漢方では赤松のみが、取り上げられています。ここで、赤松と黒松について簡単に触れておきます。
赤松と黒松は幹の色が違うので一見したら区別はつくといいますが、しかし、文字通り赤黒の色で幹が赤いから赤松とは簡単にはゆきません。赤松と黒松は性質がかなり異なるので林学、植物学など学問の世界、および植木職など専門家の間でははっきり識別されます。たとえば、通常は、マツタケは赤松にしか生えませんし、ブクリョウは逆に黒松です。大体、山野にあるのが赤松で、海岸地帯にあるのが黒松といいます。生育条件が異なるからですが、赤松は直立して高くなるけれど、黒松は海岸で見られるように横にねるとも言います。赤松は枝、葉が柔らかくしなやかで女性的、黒松は剛直で男性的といいますが、いずれにしても赤松と黒松の区別は両者を並べてみないと判断しにくいものです。
 フランス海岸松の樹皮エキスはフラバンジェノール、ピクノジェノールが成分の混合物として、化粧品、健康茶健康食品に用いられております。適応領域は広く、抗菌効果、糖尿病合併症抑制の効果もあるといわれています。名前はフランス海岸松とはいうものの、フィンランド、ロシア、中国、ニュージーランドなどからも供給されております。
 
3.入浴剤ではこの松、松皮(イヌカラマツ)です
松葉を風呂に入れたり、釜風呂で松の葉をくすべて用いる松葉風呂というのが、歴史的にはあるのですが、現在は余り使われておりません。松葉風呂は『都名所図会』に掲載されていて、奈良時代に、釜風呂にて青松葉をたいて、その蒸気で怪我の治療をすると効果があると書いてあります。松葉の風呂は高血圧にいいといって、風呂に青い松葉を小刻みにして湯に入れると、湯は薄い松葉色になり、香りもいい、湯上りの爽快感は格別であるという記事も見られます。昔、仙人に教わった秘法というのですが、今日の書物には出てきません。また、効能も明らかではありません。
効能といえば、風呂に入れて確かなのが松皮(イヌカラマツ)です。イヌカラマツには、消炎効果、抗菌作用、抗アレルギー作用などが認められております。松皮の松はイヌカラマツという独特の松が使われており、これが配合された入浴剤は唯一、医薬部外品「延寿湯温泉」です。
イヌカラマツは中国原産で、この樹木は日本にはありません。中国名を金銭松といい、中国の高い山にある落葉高木です。カラマツですので、秋にはあざやかな黄金色に染まるので、金銭松とよばれております。日本ではめったに見られませんが、関西では京都府立植物園にて見事なイヌカラマツ(金銭松)を見ることが出来ます。この木は中国からの友好親善の記念樹として植えられておりますので、選ばれた樹木なのでしょう。一見の価値ありです。

<参考文献>
高嶋雄三郎:松、ものと人間の文化史、法政大学出版局、東京(1975)
岡田稔監修:牧野和漢薬草大図鑑、北隆館、東京(2002)
池谷浩:マツの話―防災からみた一つの日本史、五月書房、東京(2006)
有岡利幸:松 日本の心と風景、人文書院、京都(1994)

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