【延寿通信】 2009年08月03日(月)

延寿通信第72号 2009年8月

あせもの季節です

--あせもと民間薬の話

 汗というと、ひところは「あせも」に悩まされました。風呂から上がると、子供たちは天花粉(てんかふん)で真っ白になり、それが夏のお決まりのスタイルかのごとくでした。真っ白の粉はシッカロール(商標)や、天花粉が主役でした。  
 昨今の子供たちは、紫外線照射から皮膚を守れ、というので、夏のかんかん照りには皮膚を曝さないようにしておりますので、黒く焼けません。夏休みあとのクロンボ自慢は時代の波で消えました。一方では、天花粉のシロンボも見る機会が少なくなりました。こちらはあせも対策なのですが、あせもは、少なくなったのでしょうか。

1.汗のこと
あせもに入る前に、汗について基礎知識を整理しておきます。
 人の皮膚には汗の出る穴、汗腺(かんせん)には、アポクリン腺とエクリン腺とがありますが、もっぱら全身に分布して汗を出すのはエクリン腺です。日本人の場合200万〜500万あります。このうち実際に汗の分泌をしているのは、180〜275万で、全身にあるとは言うものの、満遍なくあるというのではなく、特定の場所に集まっています。足の裏や手のひら、ひたいの前面に集中しております。アポクリン腺は大部分が腋の下に集まっております。乳児はもともと汗腺の数が少なく、生後6ヶ月で成人の60%で放熱が少ないので、平常の体温は高めになっております。
 汗のもっとも大事な機能は体温調節で、皮膚を冷やす作用にあり、暑くなれば、汗腺の働きは忙しくなります。汗の量は、1日600〜700mlが平常時の値ですが、夏の暑いときや、激しい運動のあとでは、1日、4〜10リットルになることがあります。
 汗の組成は、食塩NaClが1%(0.648〜0.987%)近くあって、水分を除けばこれが残留分の90%ぐらいあり、続いて尿素(0.086〜0.173%)や乳酸(0.034〜0.107%)などが並びます。要するに汗の成分は食塩NaClが大部分であるということです。食塩NaClは、化学的にはありきたりの成分に過ぎないのですが、体液中の無機塩類として、体液の恒常性を保つのに非常に重要な役割を担っております。

2.あせもとは何か
 暑くなると汗腺の動きは活発になり、汗はどんどん出ます。誰もが経験するところです。こうして体温の調整が行われております。
 汗は汗腺から出てきますが、この汗腺に異常が起きて、管が詰まってしまうことがあります。汗の出るような暑いときには、皮膚の表面にいる細菌類は適度な暑さと湿気のあることで繁殖が好条件となり、動きが活発となって汗腺を食い荒らして、汗腺の環境を破壊し、汗腺の管を損ないます。汗腺は詰まり、汗は外には出にくく、たまってしまいます。
 汗腺の管には、どんどん汗が作られてたまり、汗は管に充満して、管をパンクさせてしまいます。漏れ出た汗は皮膚組織内へ流れ出ます。
 皮膚組織内に流出した汗は、その成分の大部分が食塩ではあるものの、タンパク分解酵素や、炎症を起こす物質も含まれていますので、皮膚には炎症が発生します。この皮膚炎を「あせも」、医学的には汗疹(かんしん)と呼んでおり、やがて発疹が現れます。
 あせもには、発症する部位によって3種に分けられ、皮膚表面近い部分から「白いあせも」(水晶様汗疹腺)、皮膚の表皮に出る「赤いあせも」(紅色汗疹)、そして、一番深い所に出来る「深いあせも」(深在性汗疹)とがあります。
 かゆみを伴うのは「赤いあせも」で、激しいかゆみのために皮膚を掻くので皮膚炎はますます悪くなります。また、皮膚の表面の細菌感染も起こりやすいので化膿することもあります。
 一方、「白いあせも」、「深いあせも」は通常はかゆみがなく、発疹は出るものの、自覚症状はほとんどありません。とくに「白いあせも」は水泡ができますが、2,3日で直るので、治療の対象にはなっていません。

3.あせも対策
とにかく、汗をかかないこと、これがあせもを起こさせない第一原則です。
 最近は、ひどいあせもは家庭の暮らしの環境改善が進み、とくにクーラーの普及などで、めっきり減ったといわれております。
 もともと軽症の皮膚疾患ですので、治療というよりも不快なかゆみを取り除き、発疹を一時的に抑えることになります。汗をかかないようにして、汗をかいたら、タオルで拭き取り、皮膚を清潔に保ちます。
 第二の原則は、毎日、入浴を欠かさないことです。皮膚を清潔に保つようにといっても、夏の暑い時期、汗が出て、皮膚の露出する機会も多く、皮膚をつるつる、ぴかぴかに保つのは難しいことかも知れません。
 あせもは、そのものによる被害よりも、皮膚表面の細菌感染による皮膚の炎症や、化膿が症状をひどくします。
 

4.あせもと入浴
 あせもには特別の治療法があるわけではなく、しかも、治療よりも、未然に防ぐことに力を入ていれます。その最たるものが入浴にあります。入浴そのものも効果的なのですが、ここに入浴剤が登場します。医薬部外品の入浴剤には通常は「あせも」が適応症にあげられています。生薬配合「延寿湯温泉」もあせもは適応症のなかにあります。とりわけ「延寿湯温泉」では細菌の発育を抑える成分や、皮膚表面を清潔にたもつため、皮膚の垢と汚れを洗い落とす成分などが配合されていますので、あせもには好適の入浴剤です。
 今日のような空調など、暮らしの環境が整っていなかった時代、江戸時代から明治、大正、昭和にかけて、あせもは庶民にはお馴染みの厄介な皮膚疾患のひとつでありました。
 当時の民間医療では、あせも治療に入浴時、身近な植物を利用することが、しばしば出てきます。民間医療というのは、中国の長い歴史にて築かれた漢方医療とは違って、それこそ、おばあさんから受け継いできた人類の知恵に基づく医療です。
 漢方医学の書には、掻痒、発疹、皮膚炎などの皮膚疾患治療には多くの処方例が並んでおりますが、さすがにあせもの治療は出てきません。医書に記述されている皮膚疾患はあせもに比べると難物ばかりですので、おそらく通常のあせもは、昔も医師の治療対象からははずされていたのでしょう。
 民間療法に使われる植物は民間薬といって、生活の身の周りにある植物が使われます。漢方ですと、特定産地の特定の植物に限られ、また、漢方独特の理論があって使用が律されていますが、民間薬には、そういう難しい理屈は一切ありません。このあたりが両者の大きな相違点でしょう。
  

5.あせもに使われている民間薬の植物
 民間薬として、あせもに使われている薬用植物を眺めてみましょう。ビワやモモなどは江戸時代以前から盛んに使われてきたものです。これらは過去の歴史遺産ではなく、いまもなお、連綿と伝えられ、現役で活躍している植物ばかりです。
 アカメガシワ、 カラスウリ、スイカズラ、 ビワ、モモ
 夏を呼ぶ果物が出回っております。イチゴ、サクランボの季節から、店頭ではスイカ、ブドウそしてモモが、だんだん売り場を広げつつあります。その少し前はビワがありました。この中で、特に風呂に関係の深い果物といえば、モモとビワです。しかし、果物といっても肝心の実ではなく、葉っぱが関係あるのです。
 モモやビワの場合は、ちょうど葉の盛んに茂る時期が夏場ですので、葉をそのまま風呂に入れる場合もありますが、ビワの場合、煮出し汁を使うのが効果的です。ビワは葉を3枚ほどちぎり、水500mlで煮出して、冷やした後皮膚を洗うようにして使います。
 ビワの葉は江戸時代、暑気払いの薬として数種の薬草とともに煎じて、街頭の飲み物で大人気でした。この飲み物の名前が枇杷葉湯(びわようとう)でした。名前が浴剤のようですが、まったく違います。浪花や江戸の夏の風物詩になっていたといいます。
 モモは新鮮な葉を取ってきて水洗いして、500gほどを袋に入れて風呂に入れます。 モモの場合、葉はいい香りがしますが、中毒をさけるため、香りが充満しないよう換気をします。
 アカメガシワは葉、茎、樹皮などを、風呂に入れます。
 カラスウリは根は天花粉の原料として使います。果実の果肉を皮膚に擦り込んで使いますが、果実の時期にはあせもは終わっているでしょう。
 スイカズラは、あせもには秋から冬にかけてとっておいた葉・茎を乾燥したものを袋に入れて湯船に入れます。花も使いますが、これは漢方の世界で、インフルエンザの予防薬として、他の生薬とあわせて煎じて使う場合があります。
  

<参考文献>
田上八朗:皮膚の医学、中央公論新社(1999)
高島英信:生理学、文光堂(1986)
水野端夫、米田該典:家庭の民間薬・漢方薬、新日本法規(1983)

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【延寿通信】 2009年07月02日(木)

延寿通信 第71号 2009年7月

 センキュウとは一体どのような生薬(薬用植物)でしょうか。

 漢方の世界では欠かせない生薬(薬用植物)というのがあります。古来、漢方の基本的な処方の成分として大事にされてきた生薬です。古来というのは、2000年、3000年の歴史を持つ漢方の古典に収載されているということです。その古典医書のひとつが『神農本草経』です。センキュウはこの『神農本草経』に取り上げられており、ニンジンと並んで重宝されてきました。
 センキュウは漢方ではからだを暖め、血行を良くし、鎮静・鎮痛の作用もあるというので、入浴剤の代表的な生薬であり、一方では煎じ薬としても広く用いられ、婦人科の疾患には主要な薬剤として多方面に使われております。

1.センキュウという植物
 センキュウはせり科の植物で、薬用に使うのは根っこです。せり科の植物は薬用には多く、それぞれが葉から根までに芳香を有しており、それがこの科の特徴のひとつです。
 せり科の食品では、芹、人参、パセリ、セロリなどがあり、いずれもせり科独特の、芳しい香りが漂ってきますので、お分かりかと思います。せり科の薬用では、トウキ、ヨロイグサ、アシタバ、サイコ、ウイキョウ、ハマボウフウほか、重要な植物が並んでおります。近代の医薬品で、アトピー、アレルギーなどの代表的な薬物クロモグリク酸ナトリウム(商品名:インタール)は、せり科植物から発見されました。
 せり科植物のもう一つの特徴は花の咲き方にあります。散形花序といって、花ひとつひとつは小さいのですが、頭頂部に集まって傘のように広がって咲きます。この花の形でせり科植物の大部分は見分けがつきます。
センキュウの原植物の名前は、おんなかずら、おんなぐさとも呼ばれ、「おんな」にかかわりある名前になっております。植物見ただけでは「おんな」にかかわりがあるのか、その姿の優しさをいうのか、理解に苦しみます。女性と関係のあるのは薬効なのですが、それが果たして、植物名につながるのか、これまた疑問です。
 

2.センキュウの生い立ち
 センキュウはもともとは中国の生薬であり、植物は江戸時代初期に日本にやってきたというのです。冒頭にも申し上げたように中国の古典医書に記載されて、中国では長らく医療の場で用いられていきました。江戸時代までは、わが国では中国からの輸入品で間に合わせていたのでしょう。日本での栽培が進むと、日本産の需要が高まったのですが、日本の北部を中心に栽培地区はどんどん広まりました。
 ところが、つい最近、日本薬局方では、中国のセンキュウと日本のセンキュウとは植物が違うというので、中国産センキュウの使用が禁止されました。まことに不思議な現象です。江戸時代に中国から入ってきたセンキュウと同一の植物、すなわち日本で今、栽培されているセンキュウは、今では、中国現地では野生株を見つけることはできない、といいます。
 そういうわけで、今ではセンキュウといえば、日本産で、入浴剤といえども、すべて日本産センキュウを使います。中国産の輸入はピタリと止まりました。
中国ではキュウキュウというのですが、なぜこのように呼ぶのか、それは分からないと、中国古典の植物書、『本草綱目』(1578年)には出てきます。キュウというのは弓なりになった様をいうといい、センは、さきごろ大きな地震がありました中国の四川省(しせんしょう)に由来しております。今でも、中国のセンキュウの主産地なのですが、センキュウのセン=川 であり、これは四川省からきました。四川省は昔からセンキュウの主要産地であり、品質も優れていたので、植物に土地の名前が残りまた。
 日本ではセンキュウは北海道、東北地方、長野、奈良などで栽培されております。
 なお、つい最近のことですが、日本のセンキュウの種を中国に持っていって、中国で栽培して、日本に輸出することが行われるようになりました。こういうことは、生薬の世界ではよくあることで、「日本種中国栽培」というセンキュウがぼつぼつ出回ることになるでしょう。

3.センキュウの薬理と効能
 センキュウの薬効となる主成分は精油成分で、これが1〜2%含まれているのですが、精油にはいろんな成分が混ざっております。クニデライト、リグスチライト、ブチルフタライド、ブチリデンフタライドそのほか、多種の精油成分が並んでおります。
 本によってはセンキュウラクトン、センキュウ酸などという成分名もでてきます。いずれにしても、センキュウにはいろんな化学物質が含まれておりますので、ある成分を特定して、センキュウの性状を論ずることはできません。
 センキュウの薬用植物としての働きは、広範に及ぶのですが、おもなものは次のとおりです。
 @中枢神経系への作用:中枢に対しては抑制的に働くの が 特徴です。いわゆる鎮痛、鎮静作用などが、発揮されます。
 A心臓・血管系への作用:ここで目立つのは末梢血管の拡張作用です。血管が拡張するので血流量も増加します。血圧は少量では高めになるものの、大量では血圧は下降して血流を増やします。
 B血液への作用:凝血を防止しますので、血の流れを良くします。
 C鎮痙作用:腸管や子宮の筋緊張を和らげます。女性用に使われる一つの理由です。
 D皮膚温度上昇作用:精油成分には、皮膚を刺激する性質があります。この作用が入浴剤に効果的に働きます。持続性にも優れております。

 センキュウのこのような薬理効果は総合して、適用は婦人薬、冷え症薬、皮膚疾患用薬などがあげられております。入浴剤向けでもあることが、お分かりかと思います。
 中国ではセンキュウといっても、厳密には植物が異なるのですが、センキュウは活血薬の部類に入れて、血流の停滞、うっ血などに用いることになっております。

4.センキュウと入浴剤
センキュウは、生薬入浴剤での配合はトップクラスの存在です。もちろん、生薬入浴剤「延寿湯温泉」にも配合されております。
 日本浴用剤工業会の『入浴剤ハンドブック』では、薬用植物系入浴剤の中ではセンキュウを真っ先に取り上げております。ついで、トウキ、ボウフウと並んでおりますが、これらはすべてせり科の生薬です。
 これらの生薬は血行促進効果や、湯冷め防止効果があり、さらに、香りによるリラックス効果も期待できること、などがあげられております。まさにせり科植物の特徴が、入浴剤に生かされております。
 生薬は薬用植物ですので、作用は穏やかであり、通常の使用では皮膚に炎症を起こすような作用はなく、むしろ、炎症を抑える作用があります。毎日、毎日、使用しても、健康に害を与えるような心配は、まずありません。
 センキュウの香りは、万人向きではありません。センキュウのいかにも煎じ薬という独特の香りには、やや好き嫌いを招きます。香りというものには、もともと、そういう性向があります。延寿湯温泉では、センキュウの香りは、リュウノウやショウノウおよびカンピなどと調和して、ややオリエンタルな雰囲気をもたらすのが特徴になっております。

<参考文献>
日本大衆薬工業協会編:改訂版 汎用生薬便覧(2004)
難波恒雄:原色和漢薬図鑑、保育社(1980)
内林政夫:生薬薬用植物語源集成、武田科学振興財団杏雨書屋(2004)
浴用剤工業会:にゅうよくざいハンドブック(1993)

Posted by 管理者 at 13時56分   パーマリンク

【延寿通信】 2009年06月01日(月)

延寿通信 第70号

いよいよ薬事法大改正が施行


薬事法大改正いよいよスタート 
5月29日の日経新聞は大きく報じています。「大衆薬 コンビに向け 小分けに・・・・6月1日から改正薬事法が施行され、登録販売者の資格を持つ人を置けば スーパーやコンビニでも 大衆薬を販売できる」
 薬事法の50年ぶりという大改正がこの6月1日から施行されます。
 本通信では、すでに昨年10月、関連事項を第62号にて取り上げましたが、いよいよ実施の時期が来ましたので、再度、薬事法大改正をここで特集します。
 一連の薬事法改正で、最近、マスコミで大きく取り上げられているのは、一部の一般用医薬品がこの改正で通信販売・ネット販売が禁止されたため、これにより従来の客・販売者側に不便・不利を招くことになったことです。しかし、この問題は2年間の経過措置で、一部継続が認められることになりました。通信販売禁止の話は医薬部外品である入浴剤には関係ありません。
 

1.一般用医薬品の販売店が増えます
今回の薬事法大改正は、医薬品の中でも、主として一般用医薬品に限定されております。「一般用」ということは、医師、調剤薬局が処方箋にて扱う「医療用」とは違い、町の薬局などで客が自由に購入できる医薬品をいいます。一般用医薬品は市販薬、あるいは大衆向けなどとも言われることがありますが、最近はアメリカの用語にならってOTC(Over The Counter = オーティシー)という用語がよく使われます。
 今回の法改正の大きな特徴の一つが、新しく登録販売者の制度をつくり、この人たちに一般用医薬品の販売が認められるようになったことです。すでに前年度の資格試験は終わり、有資格者は6万人近くいます。登録販売者は、薬局で、あるいは薬局以外の新しい店で働くことになります。新聞にも報じられているように、新しい制度による店舗にはコンビニなどが大挙参加し、中には医薬品販売の24時間営業を計画しているところもあります。
 この新しい登録販売業は薬局という名前を使うことはできませんが、店の名称には法的な制約はありませんので、通常はコンビニの一売り場として、営業することになるでしょう。法的な業態は「店舗販売業」と呼ばれます。
 従来の薬種商という業態は今回の改正で消えて、薬種商販売業者は登録販売者として、この「店舗販売業」に含まれます。

2.薬剤師でなくても売れます。それを登録販売者といいます。
 一般用医薬品を売ることができるのは、これまでの薬剤師と、登録販売者に限定されます。両者には、販売できる商品に違いがあり、医薬品の安全性に基づいて分けられます。それは客に提供する安全性、使用情報の内容、伝達方法に差があるからです。
 この違いは医薬品を使用上のリスクに応じて分類した「リスク分類」によって扱うことのできる医薬品が決まります。 登録販売者の資格認定試験は都道府県別にて実施されます。かなり難関のようで、合格率は府県によって異なりますが、前年度は、50〜60%ぐらいだったようです。
 配置販売業という業態は残ります。制度そのものは大きくは変わりませんが、販売できる商品は店舗販売業に準じ、客への情報提供は登録販売者の規定が準用されます。

3.薬は4種類に分けられます。これをリスク分類といいます。
 各医薬品の「リスク分類」は、次のように、4段階に分けられて、法律で指定されます。
当初は3段階でしたが、後に指定第2類医薬品が加えられたので4段階となりました。
第1類が、もっともリスクは高く、一般用医薬品として市販の経験が少なく、安全性 
評価も確立していない医薬品が、ここに該当します。
分類のあとのカッコ内の数字は一般薬全体に占める比率です。
陳列する際にはそれぞれ分類別に混在しないように、定められた場所に並べます。

・第1類医薬品(1.5%)----特にリスクが高い
薬剤師が対面して販売する、情報提供は義務、 陳列は定められた第1類医薬品の区画の内部に、購入者の手に触れてはいけない、通信販売はできない 

・指定第2類医薬品(22.8%)---第2類医薬品のなかでも、リスクが比較的高く、注意を要する
薬剤師および登録販売者が対面して販売する。陳列は定められた指定第2類医薬品の区画の内部で、購入者が進入できない場所に。情報提供は義務に近い。通信販売はできない

・第2類医薬品(50.9%)---リスクが比較的高い
薬剤師および登録販売者が対面して販売する。第1類医薬品、指定第2類医薬品とは混在しないように陳列。情報提供は努力義務。通信販売はできない

・第3類医薬品(24.8%)---リスクが比較的低い    薬剤師および登録販売者が販売。第1類医薬品、指定第2類医薬品、第2類医薬品とは混在しないように陳列する。情報提供は不要。通信販売はできる

 生薬は2類、または3類で、一部に指定第2類があります。また、八味地黄丸のような漢方の製剤はすべて、第2類になっております。このように、大枠で分類されていると、わかりやすいのですが、実際には、リストで確認しないと、何が、どの分類かはわかりません。ただし、第1類医薬品の大部分は一般用医薬品として安全性評価の確立していない医薬品で、医療用から一般用医薬品へ移行して、まだ日の浅い医薬品が中心ですので、ある程度の見当はつくかと思います。

4.医薬部外品も定義と表示が少し変わります。
 医薬部外品というのは、薬事法の規制対象にあり、一般用医薬品と同じような扱いで製造販売されておりますが、医薬品と同格ではなく、医薬品よりも作用の緩和な、安全性の高いものが、この範疇に入ります。医薬品というと、薬局、店舗販売業、配置薬販売業でのみ、限られたところで販売されますが、医薬部外品には、その規制はありません。
医薬部外品は、薬局だけでなく、薬局以外のどの店でも扱うことができます。最近は医薬部外品の枠が緩和され、一般用医薬品から医薬部外品に移管された一部の風邪薬や胃腸薬などがコンビニでも販売されています。
 今回の法改正では、医薬部外品の制度は大きくは変わりませんが、枠組みが整理されています。入浴剤は従来どおりで医薬部外品として、どこでも販売できます。
 表示では、殺虫剤の一部に、「注意ー人体に使用しないこと」また、一部の部外品は有効成分の分量を表示しますが、この範囲は変わっておりません。
 要するに、医薬部外品の入浴剤は、今回の変更対象には該当しておりませんので、販売も表示も従来のままです。

5.商品の包装の表示が変わります。
 一般用医薬品の包装には「リスク分類」が明示されます。これは販売するときに、購入者にリスクに応じた説明をしなければならないこと、さらに、店頭で陳列するときに、リスクによって分類しなければならいためです。もちろん購入する客が、包装表示でリスクの程度を認識することは、安全な使用にプラスになるでしょう。
 「リスク分類」の表示は、すでに店頭にある商品には表示されているものが並んでおり、お気づきかとも思います。「リスク分類」は一定の猶予期間のあと、2年後には、店頭の全一般用医薬品の包装に表示されます。
 

6.通信販売は一部では継続して行われます。 経過措置について 
 この問題は省令施行のぎりぎりまで、もめていたのですが、結局、2年間の経過措置として、次の点が認められることになりました。
 @通信販売が継続の対象となる人:・薬局等のない離れ島に住む人、・本年5月31日までに購入した医薬品を継続して使用していると認められる人
 A対象となる医薬品:・第2類医薬品  ・薬局が製造販売する医薬品
                                   
<文献> 厚生労働省の通達類を参考にしました。厚生労働省のホームページにて詳しい
情報がえられますので、ぜひご覧ください。

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