小西製薬株式会社

延寿通信 第1号 「延寿湯温泉と風呂釜と給湯設備への影響」      2003年10月

入浴剤 延寿湯温泉は長い販売の実績があります。この間、風呂釜、給湯設備を痛めたという報告は1件もありません。

現在、使われているご家庭の一般的なお風呂には安心してご使用いただけます。しかし、手放しで大丈夫とは申しません。使い方によってはきわめてまれに、器具に損傷を与える場合がありますし、また、風呂釜、給湯設備を長らく円滑にご使用いただくため、念のため、次のご説明をお読みいただき、ご注意喚起をお願いたします。

 

1.風呂釜と給湯設備の種類

 浴槽の湯を風呂釜で沸かす方式、あるいは給湯方式で給湯する方式にはいろいろあります。最近、この分野の器具・設備は著しく改善が進んでおり、新しいシステムの開発が続出しております。その反面、消えて行くタイプもあります。

 代表的な5つのタイプをここにご紹介いたします。

    A   水から風呂釜にて沸かしてゆく方式で旧来からの伝統的なタイプです。通常、

      湯は自然に対流にて循環します。

    B 給湯設備にて湯を蛇口から浴槽に入れる方式。屋外給湯器タイプです。きれ

      いな湯のみ、蛇口から出てきます。      

    C  給湯設備にて湯を浴槽内のアダプタから入れ、追い炊きには同じアダプタか

      ら高温水を補充しますので、湯の量は増えます。使用した湯は循環しません。

      ジェットフロータイプともいいます。

      D   給湯設備にて湯を浴槽内のアダプタから入れます。浴槽内の湯を循環させて

      随時一定温度に保ち、温度が下がれば温める方式です。追い炊き式といいま

      す。ポンプを使って循環させるので強制循環タイプともいいます。 現在、給

      湯設備メーカーがもっとも力を入れているタイプです。

    E  給湯設備にて湯を浴槽内のアダプタから入れます。浴槽内の湯を強制的に循

      環させ、常時、浄化装置を働かして、きれいな湯を供給するのが特徴です。

      いつでも、きれいな湯の風呂に入れる、24時間保温装置つきというのもあり  

      ます。浴用循環浄化方式といい、銭湯は大部分このタイプですが、最近、家

      庭用では減ってきております。

 

2.熱源および釜と給湯設備の材料

 熱源は電気、ガス、石油、薪、太陽熱 などがありますが、風呂釜の構造、あるいは給湯設備のパイプの大部分は銅製が普通で、まれに鉄、アルミ製もあり、それぞれ共通しております。ここでは、もっとも普遍的である銅製を前提にします。

 

3.入浴剤が釜や給湯設備に接触するタイプ

 上述の5つのタイプで入浴剤が風呂釜、給湯設備と接触するタイプはADEです。

BCのタイプは、使用した湯が給湯設備に戻りませんので、通常は器具、設備はきれいな湯、水のみが接触し、湯あかのたまることはありません。

 

4.延寿湯温泉が釜や給湯設備に接触したらどうなるか

 延寿湯温泉は風呂釜、給湯設備と接触しても、通常は器具、設備になんら損傷は起こしません。

 それは、延寿湯温泉がアルカリ性であるからです。参考までに、器具、設備に損傷を起こすおそれのある入浴剤は強い酸性か、もしくは硫黄成分を含んだものです。これは気をつけねばなりません。温泉土産の入浴剤は、硫黄含有製品が意外と多いようです。

 一方、浴槽の湯、水が非常に少ない時には入浴剤を入れたとき、部分的にきわめてまれに強酸性、強アルカリ性となり、風呂釜、給湯設備に好ましくない影響を与えることがあります。しかし、入浴剤を十分の湯、水の中にいれて使う、通常の使用では、強酸、強アルカリ性にはなりませんので、器具を損傷したり、皮膚を痛めたりすることはありません。

 

5.延寿湯温泉の粉末は釜と給湯設備を詰まらせるのではないか

 延寿湯温泉は自然の薬用植物を粉末にしており、これを不織布の袋にいれております。そのため、わずかですが微粉末の出ることがあります。この微粒子が循環した時に釜、給湯設備に接触しますので、悪い影響がないかと心配されますが、通常の使用では、釜、給湯設備を傷つけることはありません。また詰まらせることもありません。

 それは、微粒子を含んだ湯がパイプの中を速いスピードで通り抜けるため、途中で詰まるという場所、機会がないこと、パイプは一方向ではなく逆流させ、清浄水を流したりするので自浄作用があることなどによります。パイプの内径は、通常15mm以上です。

 パイプの詰まる心配は、濃度が高くて液に粘りのある場合ですが、延寿湯温泉がそういう状態になるのは極めて珍しく、まず起こりえないしょう。

 もう一つ、パイプのなかにセンサーが仕込まれていて、弁の開閉するものがあります。

大きな異物がパイプ中を流れると弁の締り具合が悪いということが起きます。パイプにはこのような異物を通さないようフイルターがついておりますし、また延寿湯温泉の粒子は極めて小さいので、このようなトラブルが発生することはありません。

 

6.浴用循環浄化装置の場合の注意

 延寿湯温泉では浴用循環浄化装置による給湯には、24時間保温装置付きの場合も含み、特に細かい使用上の注意をお願しています。これは構造上、浄化装置のために本来の薬用成分が浄化され、無効になってしまうからです。その使用上の注意は次の通りです。

入浴剤を入れる前に必ず電源を切る

入浴剤をいれたあと、入浴中は電源をいれない

入浴後は入浴剤入りの湯を早く抜いて、洗う

入浴剤の湯を排出したあとに、新しい水または湯をはり電源を入れる

 

7.釜と給湯設備のメンテナンス

 風呂釜や、給湯設備の入浴剤によるトラブルを防止し、いつもきれいに円滑に運転・稼動させるために、次に示す日常の手入れをお奨めします。
 これは延寿湯温泉に限らず、入浴剤一般を対象にしております。

(1)使用後は早く浴槽の湯を流し、きれいな水でこまめに洗います。

(2)浴槽にアダプターがあってフイルターが装着されている時は、それを常にきれいにしておいてください。

(3)入浴剤は湯、水を浴槽に十分入れてから入れます。湯、水の少ない状態で入浴剤をいれると濃度が高くなり、まれに強酸・強アルカリになる場合があります。また、粘りが出ることがあり、器具、設備を痛める危険があります。

(4)湯あかがついていると思われる場合、釜、給湯設備に洗浄剤、たとえば「ジャバ」のご使用をお奨めします。

(5)それぞれの入浴剤には、使用上の注意を記載しておりますので、ぜひご覧のうえ、ご注意下さい。

                                     以上

 


延寿通信 第2号「ご家庭のお風呂に湯温計を備えましょう ー 風呂の温度」  2003年10月

前回、風呂釜、給湯設備につき解説しましたが、これら5種の設備の中には、操作を誤ると湯が高温となり火傷の危険が発生するものがあります。

しかし、最近の給湯タイプでは、温度設定に厳しく、センサーで制御しますので、誤作動のないかぎり高温の湯による火傷発生の心配はありません。

 

1.火傷の発生する温度

  10秒間 曝されたとした場合、火傷の発生しない湯温の限界は58℃です。

  30秒の場合は55℃、120秒の場合は52.5℃といわれております。

  火傷が発生するのは、皮膚の表面温度とその温度が接触する時間に関係します。

  ここでは,1度の火傷、赤くなる程度のものをいいます。ちなみに2度の火傷では

  水ぶくれが出来ます。

 

2.通常用いられる湯の温度  

  飲料用      5055

  シャワー   43

  洗面・手洗い 4042

  ひげそり用  4652

  台所用 一般用 45

 

3.女性の好む湯の温度  

  食器洗浄  39

  洗顔    37.5

  手洗い洗濯 39

  洗髪    40.5

  入浴    40.5

  手持ちシャワー  40.5

  壁掛けシャワー  42

 

4.風呂・給湯設備の温度設定

  給湯設備の標準設計による  40.5

  東京都の銭湯の温度の基準 42℃以上(1991年にこれは改正された)

  家庭の風呂の温度は一般には42℃といわれていましたが、浴槽内の湯の温度は上下で 

  かなりの差があり、今では浴槽の給湯設備設計では40.5℃が標準になっています。

  風呂の温度測定は通常、水面下10cmで測るといいといわれています。

 

5.大阪の銭湯の場合 (源ケ橋温泉)

  銭湯は家庭風呂に比べてやや高めに設定しており、通常は4243℃ぐらいにしています。しかし、季節により客の反応は異なりますので、季節に応じて標準温度は変えています。温度調節機能は最近の機器は優秀で、プラスマイナス1℃以内で管理され、サーモスタットは絶えず作動して温度を一定に保っています。

 浴槽の温度は基準を41.5℃におき、高めの限界は43℃で、これを超えてはいけないということで調節しているそうです。

 標準温度は季節によって次のように設定しています。

  春 41.5℃、 夏 40.8℃、  秋 41.8℃、 冬 42.5

 

6.お風呂の先生がお奨めする入浴温度 

    医学博士植田理彦先生(温泉療養システム研究会会長)による。

大変気持の良い風呂が時には「魔の風呂に」転じることがある。11月から2月にかけて入浴の方法を間違えて15000人の方が死亡している。

 まず問題なのが脱衣所が寒すぎることであり、次に熱い湯に入ることで、入浴前後

 に大きな温度差の出るのが健康に良くない。

熱い湯に35分入るよりも、ぬるい湯に2030分、ゆっくり入るほうがはるかに健康的である。

熱い湯というのは42℃以上、42℃未満をぬるい湯といっている。温泉は大体42~ 

43℃に設定しているので、こう言う温泉ではゆっくりできないであろう。

冬だったら40℃ぐらいが一番好ましい。湯温計と温度計は浴室にかならず備えて欲しい。

日本人の体温は36~37℃、欧米人は3435℃。欧米人はぬるい湯に入る。

 

7.医学的にみた風呂の温度(群馬大医学部草津分院のデータによる)

  平均30歳の若い男性9人に、37℃、42℃の湯に10分ずつつかってもらった時、42℃では血圧も、心拍数も大きく変化しており、健康には好ましくないという数字が出ております。37℃では何ら問題は発生しておりません。例えば、心拍数80拍/分の人が42℃の湯に10分つかると、12分後には130拍/分と上昇しますが、37℃ですと、心拍数の上昇はありません。

  42℃以上の風呂のは決して入らないように、というのが医師のアドバイスです。

 

8.入浴剤と風呂の温度

  入浴剤を入れた場合、ゆっくり入るのが効果的ですので、出来るだけ温度は低く、4041℃ぐらいが良いでしょう。

  中味の溶解性については,入浴剤の成分では4045℃ぐらいの温度差ではほとんど変りはありませんので、気にすることはないでしょう。溶解性は物質によって大きく傾向は異なります。参考までに食塩と砂糖をご覧ください。

 

 水の温度と溶解性

                0       20        40        60      80      100 

  NaCl    26.28g 26.38  26.65   27.05  27.54  28.2g  

    蔗糖   179.2g  203.9   238.1      287.3    362.1    485.2g

    

9.入浴剤の温熱効果
  延寿湯温泉には無機塩類が配合されております。これは次のように皮膚への刺激作用および血管をわずかに拡張させ、保温効果をもたらします。

(1)無機製剤による皮膚刺激

(2)硫酸塩、硫酸イオンの血管内浸透による血管拡張 

  また、延寿湯温泉に配合されているセンキュウは皮膚血流量の増加を招き、血行促進による温熱効果に影響しております。

  入浴剤による保温効果は、身体を温めるのに好まれてはおりますが、人によっては、カユみを増すのではないかと心配される方もいます。たとえ、入浴剤は入ってなくとも、風呂の温度そのもので身体は温かくなりますので、実際、どの程度温熱効果がわざわいとなるかは個人差があるようです。

(1)いきなりシャワーをしないで、まず、蛇口で湯温を確かめる。
(2)浴槽も同じこと、いきなり飛びこまないで、掛け湯の習慣を守る。

(3)幼少児には、医薬品の容器と同様に、シャワー、蛇口など機器には手を触れないよ

   うにしておく。

(4)給湯設備、風呂釜は構造上、42℃以上の熱湯が出るか、あるいは高温になること

   があるのるのか確認しておく。最近の給湯設備は設定した温度以上にはならないよ

不幸にして火傷に遭遇したら

程度、部位、深さ、広さにもよりますが、救急病院への搬送の必要な場合があります。

ここでは、それほどでもない場合を対象にしております。とにかく部位を冷やすことです。

流水、たとえば、水道の水のように清潔な冷たい水をふんだんにかけることが第1です。保冷剤などで冷やしすぎるのはよくないとのことです。水ぶくれは潰してはいけません。感染のおそれがあるからです。

    

<参考文献>

1.飯島裕一:温泉で健康になる、岩波書店(2002)

2.日浴工会報 vol5(2003)、日本浴用剤工業会

3.鎌田元康編著:給湯設備のABC、TOTO(1993)

4.日本浴用剤工業会台68回理事会議事録(2003.11.7) 

 

 

 

延寿通信 第3号「湯冷めしない、身体が温まるとは‐身体が感じる温度と血流量」  2003年11月

延寿湯温泉に配合されている生薬のセンキュウやチンピは身体を温める作用があり、生薬系入浴剤には欠かせない成分であるといわれています。

身体を温める作用とは生理学的にどのような状態、機構をいうのでしょうか。

前回には風呂の温度のことを取り上げました。今回は皮膚の温度感覚とそれに伴う血液の流れを特集いたします

 

1.温度を感じる仕組み

 皮膚の構成は大きく分けて、外側から角層、表皮、真皮の3層にわかれ、その内側に皮下組織があります。入浴したときに皮膚が赤くなるのは真皮の部分です。真皮はコラーゲンという繊維のかたまりです。ここには結合組織に血管があり、小さい動脈が開いたり、縮んだりして皮膚色調の変化を起こします。通常の肌の色はこの皮膚静脈層に依存しており、これが皮膚の色を決めております。すなわち、血中のヘモグロビンの量、血流の多少によります。喜怒哀楽の感情で赤くなったり、蒼くなったりという場合もこれに該当します。しかし、人種の差で皮膚の色の違いを言う場合は別です。これは血管の影響ではなく、メラニン色素の多少によります。

 湯の中に手を入れて熱い、冷たいを感じさせる皮膚の感覚器官は真皮にあり、その知覚神経によって大脳皮質に伝えられます。古典的な見解では、感覚のそれぞれには感覚受容器があり、たとえば温覚ではルフィニRuffini小体があるというのが定説でしたが、最近の説ではこれは否定され、複雑な混合によるといわれています。

 受容器が温覚を受けると神経線維を通じて、脊髄、視床下部を経て大脳皮質に到達します。

 

2.身体が温まるということ

 入浴の場合のように直接、高温に接して暖かい、熱いという感覚を受ける場合と、化学物質が作用して血管を拡張させ、血流量の増加により、その結果、暖かい感覚を意識する場合があります。

 皮膚の血管は細動脈と毛細血管および毛細血管の細動脈との間に数層の小血管があって皮膚静脈層を形成しております。皮膚の温度は細動脈の拡張によって上昇し、その場合、動静脈吻合部分に多量の血液が流れます。

 皮膚の血管に作用する物質には種々あり、例えば、アドレナリン、ノルアドレナリンによって血管は収縮し、アセチルコリン、セロトニン、ブラジキニン、ヒスタミン、炭酸ガスそのほか代謝産物になどによって拡張します。

 血管拡張の結果、血流量が増加して、温かい湯に入っていると血液が体表面の熱を全身へと運び、体温を上昇させ、身体が温まるということになります。

 

3.皮膚温度を上昇させる入浴剤の生薬

 微小循環の血流を増加させる生薬には狭義の活血薬として、トウニン、センキュウ、タンジン、コウカ、シャクヤクなどがありますが、実際の入浴剤に血流増加を目的として配合される生薬はセンキュウ、トウキ、ヨモギ、アロエ、カミツレ、イヨカン、チンピ、ハマボウフウ、ハッカなどです。

 例えば、延寿湯温泉にはセンキュウ、カンピ(チンピ)が配合されておりますが、このセンキュウに含まれるフタライド系物質、チンピに含まれるフラボノイド系物質には明かな血管拡張作用があり、特にフタライド系物質にはカリウム拘縮の抑制というカルシウムチャネルを介した平滑筋弛緩作用が報告されております。これらの精油成分は皮膚を通じて容易に吸収されることもあって、入浴剤には広く使われております。

 皮膚血流量の増加による体内の熱の保持は舌下温上昇に影響しています。これは保温効果につながり、湯冷め防止に役立ちます。一方、別の作用機序で生薬に含まれる精油成分、例えば、延寿湯温泉のチョウジ、ウイキョウなどは精油が皮膚をコーテイングするので、身体を暖かく保ち、湯冷め防止に効果があるといいます。

 

4.皮膚温度を上げる入浴剤の無機塩類、炭酸ガス

 延寿湯温泉はじめ入浴剤には、通常、温泉成分である炭酸ナトリウム、あるいは炭酸水素ナトリウムのような無機塩類を含みます。これら無機塩類の配合理由はいろいろありますが、その一つに保温効果があります。その作用期機序は塩類が皮膚表面のたんぱく質と結合し、この膜が身体の放熱を防ぐためといわれております。これは厳密に言えば、体温上昇というよりも保温作用、湯冷め防止になります。皮膚表面の塩類被覆作用による保温効果といわれているものです。

 延寿湯温泉には炭酸ガス発生の作用はありませんが、入浴剤の中には炭酸ガスを発生させて、炭酸ガスの血管拡張作用を利用して血流量を増加させるタイプのものがあります。湯に溶けた炭酸ガスは、皮膚吸収で容易に皮下内に入り、直接血管の筋肉へ働きかけて血管を広げます。血管が拡張すると末梢血管の抵抗が弱まるので血圧は下がり、皮膚の血流量は増えます。

 

5.いわゆる「風呂酔い」と血流量

 冬の寒い時期、風呂に入るときに脱衣場所の温度が低いと、衣服を脱ぐと寒さのために末梢血管が収縮して血圧は上がります。湯に入ると、交感神経は興奮してさらに血圧は上昇します。しばらく湯につかり、身体が温まると、末梢血管は拡張して血圧が下がります。血流は緩やかとなり血流量還流が減少し、脳貧血を起こしやすくなります。

 また、長く入っていると湯の圧力(静水圧)で内臓や血管が収縮し、今度は血圧の上昇を招きます。ここで、湯船から急に出ると、湯の圧力(静水圧)がかからなくなるので、心臓への血液還流が減少し、心臓が送り出す血液量が低下しますので、脳貧血を起こす危険が出て来ます。これが、「風呂に酔う」という現象です。

 風呂酔いを防止し、安全に入浴するには次のことを守ってください。

飲酒後、食事直後は避ける

冬季は浴室、脱衣場の温度差を減らすこと

入浴前後には十分の水分を補給すること

熱い湯に長時間全身でつかることを避ける

上がる時は急に立ちあがらない

 などです。

 

<参考文献>

  ・真島  : 生理学、文光堂 (1985)

高木敬次郎監修:漢方薬理学、南山堂(1997)

日本浴用剤工業会編:浴用剤文献集(2000)

田上八朗:皮膚の医学、中央公論社(1999)

飯島裕一:温泉で健康になる、岩波書店(2002)

                               

延寿通信 第4号「泉質 温泉の成分と効能」              2003年12月

  

 2004年の年賀はがきの切手部分の図柄では猿が温泉につかり、気持ち良さそうな表情をしております。

 お正月を温泉でのんびり過ごされた方もおありでしょう。温泉といえば、最近は温泉博士という人たちも現れて、温泉の週刊誌、ガイドブックが書店に沢山並んでおります。

 一言で温泉といっても、その種類はいろいろです。また、温泉には「温泉法」という法があって、温泉はこの法律によって「公共の福祉の増進に寄与」しており、健康との繋がりに深い関係があります。

 温泉の話題はとにかく豊富にあり、かつ広いので、今回は入浴剤の源泉である温泉の質、効能を中心にまとめることにいたします。延寿湯温泉の成分もこの自然の温泉とは少なからず縁があるからです。

1.温泉の熱源は

温泉の成分を考える前に、温泉の熱は何処から来るか、これをまず調べて見ないといけません。温泉とは暖かいのが普通であり、熱源は次の3種あります。

 ・火山性温泉  ・深層温泉  ・新生代酸性岩性温泉

大部分は火山由来であり、実際にはこの火山の熱は放射能の崩壊で発生しております。地球の中にはウラン、トリウムやカリウムなど寿命の長い放射性元素が豊富にあり、エネルギー源は放射性元素の崩壊熱にあるというのです。この熱がマグマを生み出し、マグマは火山となって飛び出してきます。マグマの熱で暖められるのが大部分の温泉です。温泉を探す時にはヘリコプターで放射能を測定して場所を見つけるいう方法がかなり普及しております。それほどに、放射能と温泉とはつながりがあります。

全く火山なしで出てくる温泉もあります。地熱による温泉です。地熱というのはマグマに接触して熱くなった地球深部の層をいいますが、マグマが外へ出てくることはありません。そこが火山との違いです。地熱の温泉はわずかです。世界の温泉の分布を見たとき、多くの火山帯に温泉はありますが、しかし、シベリア、中国大陸、オートラリア北東部など火山帯でないところにも、若干、温泉はあり、欧州の温泉は非火山性が多いようです。

さらに、新生代酸性岩性温泉というのがあります。火の塊であるマグマとも縁のない温泉で、新生代という大昔、鮮新世(200~300万年)にできた大きな酸性の岩体に蓄えられた熱がいまだに放熱し、この岩に浸透した雨水が温められて温泉となったものです。  有名な紀伊の白浜温泉(78℃)、近畿の有馬温泉(96.5℃)がそうです。

火山との関係を見ることは温泉の質・成分を決めるポイントになります

 

2.温泉とは何か
温泉法第2条による温泉とは
「地下から湧き出す温水、鉱水および水蒸気、その他のガスで、温度が25℃以上あるか、または決められた成分のいずれか1種類以上含むもの」と定められております。
その成分と含有量(1kg中)は次の通りです。

   溶存物質    総量1000mg以上

   遊離炭酸(CO2)  250mg以上

リチウムイオン      1mg以上

ストロンチウムイオン  10mg以上

バリウムイオン      5mg以上

フェロまたはフェリイオン10mg以上

第一マンガンイオン   10mg以上

水素イオン        1mg以上

臭素イオン        5mg以上

沃素イオン        1mg以上

フッ素イオン       2mg以上

ヒドロひ酸イオン     1.3mg以上

メタ亞ひ酸        1mg以上

総硫黄          1mg以上

メタほう酸        5mg以上

メタけい酸       50mg以上

重炭酸ソーダ     340mg以上

ラドン   20(100億分の1キュリー単位)以上

ラジウム塩    1億分の1mg以上 

 

3.温泉の種類
 温泉にはいろいろな分類の仕方があり、種類は複雑です。ここでは医療、健康に関係が深いので、「療養泉」に絞りましょう。「療養泉」というのは温泉法ではなく、環境省の行政マニュアル「鉱泉分析法指針」に示されております。温泉の中でも、含有する成分によって医療効果が認められる温泉が「療養泉」です。

  「療養泉」の定義

温度(温泉から採取される時の温度)25℃以上

物質(下記に掲げるもののうち、いづれか一つ)
  物質名            含有量(1kg中)

   溶存物質(ガス性のものを除く)  総量1000mg以上

   遊離二酸化炭素            1000mg以上

   銅イオン               1mg以上

   総鉄イオン              20mg以上

   アルミニウムイオン          100mg以上    
   水素イオン               1mg以上

   総硫黄                 2mg以上

   ラドン   30(100億分の1キュリー単位)以上

 

4.療養泉と効能

  この定義に基づいて療養泉は定められ、含有成分によっていくつかの泉質に分けられます。療養泉には泉質に応じて適応症が表示されることがあります。ただし、この効能はあくまでも、サービスであって、法的な規制はありません。医薬品の効能とは大きく異なるところです。

 効能書きはサービスと書いたのは、一応、行政から示されたガイドラインを参考に各温泉の経営者側で勝手に掲示しているからです。ただし、温泉法では掲示する際、禁忌症、入浴または飲用上の注意を記述することは義務付けられております。

 効能については、温泉ガイドブック等に書いてありますが、著者によって異なる場合もあります。たとえば、本文では参考文献に「温泉で健康になる」飯島裕一著(岩波書店)を引用しており、効能の記述では同書は阿岸祐幸・北海道大学名誉教授の話しを根拠にしております。以下の効能では、一部、「温泉で健康になる」飯島裕一著(岩波書店)を参考にしました。

 

   単純温泉   刺激弱く作用は穏やか、高齢者はじめ万人向け

   炭酸水素塩泉 肌がすべすべする美人の湯。アレルギー疾患、慢性皮膚炎他

   ナトリウム塩化物泉(食塩泉)保温効果大、関節痛、筋肉痛、リウマチなど

   硫酸塩泉   ボウショウ泉では末梢血管拡張作用が大。高血圧症にいい

   二酸化炭素泉(炭酸泉)保温効果大、心臓に負担かけずに血圧を下げる「心臓の湯」

   含鉄泉(鉄・明礬泉)

   単純硫黄泉・硫化水素泉(硫黄泉)動脈硬化、高血圧「心臓の湯」気管にもいい

   酸性泉    強い刺激あり、皮膚病にいい

   放射能泉   ラジウム、ラドン、トロンが主成分。鎮静作用、リウマチ、神経痛

   

 なお、延寿湯温泉は生薬のほかに、この療養泉の中の「炭酸水素塩泉」の成分を配合しております。
  

5.温泉と入浴剤

温泉というのは古来療養のために利用されてきました。この温泉の効き目を少しでも家庭の風呂に活かすことが出来ないか、そこで生まれたのが入浴剤です。江戸時代には伊豆の温泉の湯をわざわざ江戸まで運んだり、あるいは京都では有馬温泉から湯を運んだりということもありました。

現在発売されている入浴剤は、温泉系と薬湯系とに分かれます。

温泉系というのは温泉の成分である無機塩類を中心に処方されております。硫黄成分による入浴剤などは典型的な例でしょう。

薬湯系は、これも歴史が古いのですが、仏教渡来のころから宗教上の病む人を救うために、あるいは民間医療の伝統に基づいて、生薬による処方が組み立てられております。菖蒲湯、柚子湯などは今日も民間行事につながってきております。

延寿湯温泉は、主流は生薬配合で薬湯系なのですが、温泉成分も配合されております。延寿湯温泉の処方は、結局、両者の長所を巧みに取り入れて作り上げた入浴剤ということになります。

 

 

<参考>

・日本の温泉総数(20013月現在) 26505 

温泉を掘ること、および温泉を公共のために利用するには許可がいります。この総数は利用許可数です。

   (ベスト5)

大分県  4762

鹿児島県 2804

静岡県  2289

北海道  2200

熊本県  1345

・日本の温泉地総数(20013月現在) 2988 

環境庁は温泉の公共的利用を増進するため、とくに温泉の一定地域を指定します。

この数字は指定された温泉地域です。

   (ベスト5)

    北海道  245

    長野県  217

    青森県  159

    新潟県  141

    福島県  135

・日本の温泉地の宿泊施設総数(20013月現在) 15512 

温泉地域にある宿泊施設の数字です。この数字の多い、少ないは温泉地の賑やかさにもつながってきます。

   (ベスト5)

    静岡県  2364

    長野県  1395

    大分県   845

    神奈川県  816

    北海道   785

 

<参考文献>

飯島裕一:温泉で健康になる、岩波書店(2002)

石川理夫:温泉法則、集英社(2003)

落合敏郎:温泉開発、リーベル出版(1993)

東京天文台:理科年表2004年、丸善(2003)

 

<ニュース>

アトピー患者の9割は感染症 

久保近大教授 「消毒や入浴が大切」 が発表 2003年12月

 

久保教授は第6回天然薬用資源学研究会にて、アトピー患者の治療においては感染症の原因となる表皮黄色ブドウ球菌の殺菌が重要になると強調し、次のように述べられた。

「アトピー性皮膚炎は風呂に入っていけない」は誤り、「温泉に入ると皮膚が清潔になり、感染症の原因となる菌が消毒されたと理解してよい。したがって、治療は消毒・入浴の繰り返しがポイントとなる」

「薬事日報」 2003年12月15日号

・延寿湯温泉に配合されている松皮には、抗真菌作用および、黄色ブドウ球菌に殺菌効果のあることが実験で明かになっております。

 

 

 

延寿通信 第5号「樟脳は延寿湯温泉に配合されております」        2004年1月

    入浴剤での樟脳=カンフルの働きは何でしょうか。

 

 「カンフルを注射する」とは日常よく使われる言葉です。これは「普通の手段ではどうにもならなくなった物事を回復させる非常手段」であると、広辞苑に出ております。

 延寿湯温泉のカンフルはさほどではありませんが、入浴剤に配合されているということは、痛んだ心身の疲れを癒すのにはまことに有効な手段なのです。

 カンフル注射剤という医薬品は、かつては強心剤として重症の心不全、心衰弱臓疾患に用いられ、まさに上述のような効能が期待され、繁用されておりました。

 樟脳はカンフルとも言われ、局方名もこのカンフルを使っております。厳密に言いますと、強心剤として使われていたカンフルは樟脳そのものではなく、樟脳の代謝物から生まれた医薬品です。また、延寿湯温泉に配合されている樟脳は、これも厳密に言いますと樟脳油という油性液剤です。樟脳油には約50%の樟脳=カンフルが含まれていますので、本文では、延寿湯温泉の成分を樟脳として扱います。

 

樟脳の生い立ち

 樟脳は本来はクスノキに含まれている精油成分で、水蒸気蒸留して樟脳油から結晶として得られるものをいいます。

クスノキは日本人には古来なじみ深い樹木で、温暖な地ではどこにでもあり、街路樹として、巨木として社寺に、あるいはしめ縄で飾り大事にされている所もあります。

 樟脳は江戸時代から明治にかけて、日本の特産物であり、国策上、極めて重要な産物・貿易品として扱われていました。そのため、樟脳は1906年から専売品となり、国の統制下で原料取引がなされ、1962年には生産の減少により専売制は廃止されました。

 1960年ごろから、天然樟脳、いわゆるクスノキから水蒸気蒸留して結晶を取り出す製法はクスノキの乱伐を招くため、天然資源の保護、および採算面から、合成法による製品に切り替わってゆきました。局方収載品でいえば、天然のd-カンフルが、合成のdl-カンフルに代わっていったのです。

 

医薬品としての樟脳

 樟脳は薬としては中国では紀元前から、欧州では6世紀頃から使われており、わが国でも江戸時代以前から用いられております。日本薬局方には第一版から、現在の十四局にいたるまでずっと収載されております。冒頭にあげました強心剤の注射用は、樟脳そのものではないので別ですが、樟脳は通常は外用剤として用いられ、今日も一般用医薬品等に広く使用されております。

樟脳には局所刺激作用、局所麻酔作用、および鎮痛作用があります。これらの作用によって、皮膚の消炎、血行改善、鎮痛を目的として皮膚外用剤に使われております。皮膚粘膜からの吸収は良好ですので、一般用製剤の虫さされ、かゆみ止め、皮膚炎治療剤、肩こり、筋肉痛治療剤の多くに樟脳=カンフルが配合されております。たとえば、商品名をあげれば龍角散のタイガーバームには24.9%、ロート製薬のメンソレータムには9.60%と、それぞれ主薬として配合されております。

 また、樟脳特有の清涼感が、賦香の目的で使われることもあります。

医薬品ではありませんが、樟脳の防虫作用は歴史的に実績があり、今日も高価な衣服には防虫剤として用いられております。樟脳の防虫作用の記事は中国の本草綱目(1596年刊)に出ております。

 

入浴剤としての樟脳の働き

数ある入浴剤のなかで樟脳の配合されているのは珍しいでしょう。これが延寿湯温泉の特徴でもあるのです。

医薬品のところで取り上げたように、入浴剤としての樟脳は皮膚吸収もいいので、局所刺激作用、局所麻酔作用、および鎮痛作用が発揮されて、皮膚の消炎、血行改善、かゆみ止め、肩こり、筋肉痛治療など多方面に効果を期待できます。

もう一つ、入浴剤で重要な働きは樟脳の香りです。樟脳の香りには特有の奥ゆかしさがあり、どちらかといえばオリエンタル調の香りですが、心をやすめ、ストレス消散にアロマテラピー効果を発揮します。ただし、延寿湯温泉の香りは、樟脳だけではなく龍脳はじめウイキョウ、チョウジほか他の生薬成分も加わって、すぐれたアロマテラピーの役目を果たします。延寿湯温泉の香りにつきましては後に改めて情報をお届いたします。

 

クスノキ物語

 日本で一番大きな樹木といえば、九州鹿児島県の蒲生の大楠です。蒲生町八幡神社にあって、幹の回り2422cmで国の天然記念物に指定されております。ちなみに、日本の巨木ベストテンのうち、9本がクスノキです。延寿湯温泉の製造地、大阪府の巨木ナンバーワンもやはりクスノキで、門真市三島神社に元気に茂っております。

クスノキは巨大になることから、古代では舟の材料として使われ日本書紀にも出て来ます。奈良天平時代には仏像彫刻にも使われ、奈良中宮寺、京都広隆寺の半跏思惟像はいずれもクスノキの仏像です。クスノキは木目もきれいであり、さらに香りがいいこと、防虫効果があることなどにより、今日も彫刻はもとより、内装材や家具などに使われております。このように日本を代表する樹木クスノキと延寿湯温泉とは深いつながりがあるのです。

<参考書>

第十四改正日本薬局方解説書、広川書店(2001

日本の巨樹・巨木林、環境庁編 (1991年)


                               

延寿通信 第6号 「石けんで洗うということ」              2004年2月

    水と油というと仲の悪い代表のようで、これらはそのままでは決して混じり合いません。

この二つを混ぜて激しく振っても始めのうちはまじわっても、しばらくすると油と水の2層に分かれてしまいます。ところが、ここに石けん水が加わると、水と油はたやすく混じりあい乳濁します。これが石けんの大事な働きである界面活性作用です。

サラダドレッシングを作るとき、酢と油とは混じりあいませんが、卵黄を加えるときれいに混じりあいます。これも同じ現象です。

延寿石けんの基礎材料になっている油脂は精製牛脂と精製ヤシ油です。この二つの油脂はまさに石けんのためにあるような素晴らしい洗浄能力を発揮します。いくらかわずらわしいかもしれませんが、化学の領域で油脂の洗浄力というものを見てみましょう。

 

1.普通の油とは何処が違うか

 油脂というのは液体である「油」と固体である「脂」の両方をいう場合に使われます。油脂に共通しているのは分子の構造です。いずれもグリセリンと脂肪酸の結合した分子にて構成されております。化学的にはグリセリンの3個の水酸基がすべてエステルとなったトリグリセリドであるといいます。

RCOOCH2

     |

RCOOCH

     |

RCOOCH2

        脂肪酸部 グリセリン部

どの油脂でもグリセリン部は共通しておりますが、脂肪酸部のRCOのRは異なっており、この部分の中身によって脂肪になったり、油になったりします。

ヤシ油、あるいは牛脂というのは、他の油脂と同様に一つの脂肪酸分子で出来ているのではなく、数種の分子が混じって出来上がっております。

牛脂は炭素数の多い高級飽和脂肪酸を含むので、この場合は常温で固体になります。ヤシ油と牛脂の脂肪酸の中身をみてみると、次のような構成になっております。

,

脂肪酸      ヤシ油          牛脂    

8               6%           -

10         7            0

12       51             0

14       18              3     

16        8            27        

18:0       3            18

18:1       7            41         

   18:2       1             3

 

この表でC8というのは CH2-CH2-CH2-CH2-・・・・と炭素が8個つながった長い分子であることを示しております。石けんの分子はこのように長く1列につながっており、その端が水になじむ親水基の分子、反対側が油になじむ親油基の分子がついているのが特徴です。ちょうどマッチ棒のような形状にたとえられ、膨らんだ部分が親水基、軸の部分が親油基にあたり、このマッチ棒が洗浄作用を発揮します。

これらのヤシ油や牛脂に含まれる分子の性質で顕著なのはケンカ化価という石けんになりやすい性質が際立って大きいということです。化学的にはアルカリ加水分解反応を起こす傾向をいいます。たとえば、このケンカ化価は、大豆油は188~196、オリーブ油は185~197ですが、ヤシ油は245~271、牛脂は190~202であり、この数字が大きいほど石けんになりやすいのです。この性質が大豆油やオリーブ油などの食用油と石けん用油脂との違いをあらわしております。

 

2.石けんの洗浄作用

 石けんを水に溶かすと、水の表面張力は著しく下がります。表面張力というのは面の上に液体を滴下させたとき、水銀のように球状になる場合が最も表面張力が高い状態で、逆に平たく膜状に広がるのが表面張力の小さいときです。石けんのように液体の表面張力を弱める性質を界面活性作用といいます。空気と石けん水溶液との間の表面張力が減少すると、水溶液は球状にはならないで薄い膜を作りやすくなるので、微細な隙間に入り込むことができます。シャボン玉のように空気を包み込んだ石けんの泡は簡単に消えないのは一つには、この膜を作る性質によります。

石けんの分子が皮膚の汚れを落とす作用は次のような過程を経ます。

    皮膚表面に付着している油性の汚れに石けん分子の親油基がくっつく

    油汚れを石けん分子が取り囲む

    石けん分子の親水基がこの汚れ物質を水中に引っ張り出して、皮膚から離す

    汚れの落ちた皮膚には親油基がついて膜をつくり、再汚染しないよう保護する。

汚れを落としやすくするには、ただ石けん水に汚れたものを漬けておけば良いのでは

なく、これに物理的な力が加われば洗浄効果は一層高まります。

泡立ちが汚れを落としやすくするというのは、泡の膜が汚れに付着しやすく、また隙間にも浸透しやすくなること、さらに汚れ部分を表面から引き剥がすのにも効果あるからです。一部の温泉で、あるいは硬水の場合、石けんは泡立たず、洗浄力を失います。これはカルシウム、マグネシウムなど金属イオンと石けん分子とが反応して水に不溶のカルシウム石けんやマグネシウム石けんを作ってしまうためです。

3.合成洗剤と石けんの違い

 洗浄に重要な界面活性作用というのは、合成洗剤にも顕著にみられます。もともと、天然素材であるヤシ油や牛脂が不足した時代に、これらの天然素材を使わない代用洗剤として石油を原料として作り出されたのが合成洗剤です。合成洗剤はとくに強力な界面活性作用を持ち合わせており、洗浄力も優れています。

石けんと合成洗剤と異なるところは、石けんの界面活性作用はほどほどであり、次第に分解して効果を失うこと、また、濃度で著しく作用が弱まることなどです。しかし、合成洗剤は界面活性作用の大きいことに重点をおいておりますので、なかなか界面活性作用は弱まりません。洗濯の廃液が河川に流れ込んだとき、いつまでも泡が消えないというので、環境問題になったこともありました。最近はビルダーという補助剤などを加えて洗浄力を調整しているようです。

合成洗剤の脱脂作用は強く、浸透力も強いので、皮膚の表面をかさかさにしてしまうこと、あるいは毛髪のたんぱく質ケラチンを痛めつけることなどが、時には話題になります。

石けんは確かに脂肪を取り除く作用はありますが、逆に皮膚を保護する作用も持ち合わせております。石けんには合成洗剤ほど強く脱脂作用の働くことはありません。一つには石けんの脂肪酸が複数含まれており、それぞれが異なる作用を示すことにもあります。

ちょうど、インスタントコーヒーでコーヒーのエッセンスのみを味わうのが合成洗剤で 、豆から煎りだしたコーヒーでまろやかさを味わうのが、天然素材の石けんで洗うことになるでしょう。

 

エピソード:石けんのはじまり

 石けんがそもそも作り出されたのは初期のローマ時代で、当時の人が宗教行事でいけにえの羊や山羊が焼かれたとき、その脂肪が木の灰に含まれるアルカリ性物質と反応して石けんの出来ることを知り、これが世界に広まったのであるというのが定説のようです。

 延寿石けんは今日も連綿と牛の脂とアルカリとで作られています。

                                      


延寿通信 第7号 「マツカワ(イヌカラマツ)の臨床の文献紹介」    2004年3月


入浴剤 延寿湯温泉の主役であるマツカワ(イヌカラマツ)については、長年、民間療法で用いられてきたという実績はあるものの、学問の世界にはこれまで縁が薄かったため、医学論文はわずかしかありません。中でもわが国の研究論文は今のところ、一つもないというのが現状です。

このほどマツカワにおける世界の医学文献を探索して、原文を入手いたしましたので、その一部をここに紹介します。入浴剤には直接関係ないのもありますが、世界におけるマツカワの研究の現状を理解していただくために、引用しました。 原文は中国語もしくは英語ですが、当方にて適宜、抄訳いたしました。

 

1.マツカワの成分 pseudolaric acids A and B の性ホルモンへの影響

Endocrine activity of pseudolaric acids A and B and their effects on sex hormones,

Prostaglandins, uteril, and fetuses

マツカワの根から分離されたpseudolaric acids A and B(以下PA,PBと略す)は実験動物には顕著な抗受胎作用があるといわれてきた。今回の研究ではPA,PBにはエストロゲン活性も、同抗活性も認められなかった。しかし、妊娠中の動物にPA,PBを投与したとき、胎盤、子宮大きさは縮小し、血管収縮薬による虚血効果は大であった。

WANG Wei-Chang ほか中国科学院上海薬物研究所、上海200031、中国

[ Acta Pharmacologica Sinica 1991 Mar; 12(2):187-190]

 

2.The  isolation  and  structural  elucidation  of  four novel  triterupene  lactones, psedolarolides A,B,C, and D, from pseudolarix kaempferi

4種の新しいトリテルペンラクトンpseudolarolides A,B,C,D がマツカワの根皮から分離された。 中国の民間薬 「Tu Jin Pi は長らく真菌の皮膚疾患治療に使われてきた。この分離された成分のうち、 pseudolaric acids A and Bには抗真菌、抗受胎、抗ガン作用などのあることが、研究されてきた。本研究はマツカワの種の抽出物にて

抗がん作用を実証した。

GUO-Fu Chen et al ,中国上海医科大学薬学部天然物化学部門

[Journal  of  Natural Products  Vol.56,No.7,pp1114-1122,July1993]

 

 3.マツカワの抗真菌作用

Antifungal evaluation on pseudolaric acid B, a major constituent  of   pseudolarix kaempferi

マツカワ(イヌカラマツ)の主成分pseudolaric acid Bは抗真菌作用を持つ。

pseudolaric acids  Bは白鮮菌、皮膚糸状菌、カンジダには抗菌作用が認められたが、

クリプトコカスには無効であった。この抗真菌作用は強く、マクロライド系抗菌剤であるアムホテシリンと同等の効果を具備する。

マツカワは根および樹皮が皮膚真菌症に用いられ、中国の伝統医薬品として使われている。 pseudolaric acids  B の毒性はきわめて弱い。

Erguang  Li et al , School of Pharmacy, The University of  Mississippi, USA

[Journal of Natural Products  Vol.58,No.1pp57-67 Jan.1995]

 

4.Pseudolaric acids  B のカンジダへの抗菌作用

マツカワ(イヌカラマツ)からはいろいろな化合物がえられるが、8個の化合物のうち、pseudolaric acid BCandida albicans に対して強い抗菌作用を示した。そのほかの化合物には顕著な抗菌作用はみられなかった。

  Xing-Cong Li et al , School of Pharmacy, The University of  Mississippi, USA

[Journal of Natural Products  Vol.62,,No.5 pp767-769 May 1999]


 

延寿通信 第8号 「匂い・アロマセラピーと入浴剤延寿湯温泉」      2004年4月


アロマセラピーという言葉そのものは1928年フランスの化学者ルネ・モーリス・ガットホッセが使ったのが最初といわれており、医師ジャン・バルネが1964年に「植物=芳香療法」を出版して広まったといいます。アロマセラピーという言葉は新しいのですが、香料を使って治療に役立たせるというのは古代エジプト、あるいは古代中国にはじまり、紀元前500年にヒポクラテスによって植物香料による治療法が確立しました。

 

入浴剤延寿湯温泉には龍脳、樟脳、丁子など芳香性の生薬が配合されています。

風呂に入浴剤延寿湯温泉を入れて、ややぬるめの湯でのんびりつかればストレスが消えて心が休まるといいます。

 

1.香りが心を癒すとはどういうことか

 香りとはにおい物質の「におい分子」が空気とともに鼻腔に入り、奥にある嗅覚受容部に到達して嗅細胞を刺激し、信号を脳の一部である嗅球に入り、次に前頭葉新皮質に送り込まれ、ここでにおいの情報処理が行われます。

 においの情報処理というのは、その香りが水仙の香り、バラの香り、くちなしの香り、・・・など快い香りであるとか、逆に不快なにおい、いわゆる悪臭であるという判断をすることをいいます。大脳の嗅覚を処理する部位の近くには、食欲、性欲、怒りなどの動物的な本能行動を左右する大脳辺縁系にあり、においの情報処理によって、大脳は次の行動を指示します。 

 におい分子は極めてわずかな量で、嗅覚を刺激します。個人差、あるいはその時の健康状態によっても感度は全然異なるといわれております。たとえば、人工麝香(じゃこう)の場合、においを感ずる最低の濃度は空気1㎥中、0.0005mgであり、1mgあれば学校の体育館であれば、そこにいるほとんどの人はにおいを感じることになります。

 においは分子レベルであるというのは、このように微量で嗅覚を刺激がすることが出来るためであり、たとえば、バラの香りというのはβ―フェニルエチルアルコール、ゲラニオール、シトロネールとフェニルエチルアセテートなどの分子が混じったものです。これらの分子が蒸気となって空中に漂い、鼻に達します。

 分子が蒸発しない限り匂いは発生しませんが、蒸発する成分は植物の場合、精油成分といっております。

 脳に達して、におい感覚が起こったとき、これが心身にどのように働くかですが、脳の構造が複雑なため、簡単には答えは出てきません。大脳における嗅覚の働きが解明され出したのはまだ最近のことなのです。

 快い香りのもたらす爽快感がストレス解消に役立つということは多くの人が経験していることであります。冒頭にも紹介したように、香りの治療への応用は長い歴史が証明しているという段階にあり、残念ながら深入りできません。

 

2.入浴剤に配合されている香料成分

 植物系統の香料成分は気体を常時蒸発させている精油にあると先に書きました。

それでは入浴剤延寿湯温泉の精油成分を並べてみましょう。

 代表的な精油成分

 リュウノウジュ(龍脳)精油1% ボルネオール、カリオフィレン

 クスノキ(樟脳)精油1%  カンファー、オイゲノール、リモネン

 カンピ     精油3%   リモネン、テルピネン

 ショウブコン  精油3%   アサロン、オイゲノール

 チョウジ(丁子)精油15~20% オイゲノール、カリオフィレン

 センキュウ   精油1~2%  クニデライト、センキュウノライド

 ウイキョウ   精油3~8%  アネトール、リモネン、ピネン

 リョウキョウ  精油0.5~1% シネオール、カルジネン

 

 

<参考までに>

匂いの表現

におい(匂い):臭いかおり、臭気ともいう=悪臭・芳香にかかわらず、気体が鼻を刺激す
        る場合で、意味は広い

臭い(くさい):いやなにおい=不快な匂いに使う

悪臭:不快なにおい

香り:よいにおい=心地よい匂いに使う

芳香:よいかおり=香りのうち、とくに自分に快感を与える場合

 

学会等で使われる匂いの基本10分類

①花臭

②果実臭

③汗臭

④焦臭

⑤糞臭

⑥樟脳臭

⑦麝香

⑧石炭酸

⑨酢臭

⑩ニンニク臭

 

<参考書>

C.ワイルドウッド:アロマセラピー百科事典、日本ボーグ社(1997)

荘司菊雄:においのはなし、技報堂出版(2001)

真島英信:生理学、文光堂(1986)


延寿通信 第9号 「端午の節句 ショウブ 生薬入浴剤のはじまり」    2004年5月

緑のさわやかな季節となりました。青空に鯉のぼりが泳いでおります。鍾馗さんの勇ましいのぼりの立っているところもあります。端午の節句は子供たちの健やかな成長を祈り、今なお各地で行われている家庭での伝統行事の一つです。

ここで欠かせないのがショウブです。

 

1.薬用入浴剤の始まり

ショウブが薬用入浴剤として記録に出てくるのは古く、5世紀ころかといわれております。仏教の重要な教典の一つである「金光明経」(こんこうみょうきょう)に病気を治すために薬湯につかることを奨め、入浴の方法や処方などが出てくるのです。その処方の第1番にショウブが書いてあります。ここには香薬といって香りの優れた生薬が集められ、チョウジ、ケイヒ、ジャコウほか全部で32種が並んでおります。

 

2.入浴剤におけるショウブの役割

 浴用にはショウブの特有の香りが活かされております。香りと風呂につきましては以前にご紹介いたしましたが、ショウブには精油成分としてβ―アサロン、メチルオイゲノール、オイゲノールなどが含まれています。入浴剤として外用で用いる場合には、これらの成分は香りのほかに、皮膚真菌の発育を阻止するいわゆる抗菌作用があります。

 ショウブは薬用部位としては根茎で、ショウブコンと呼んでおり、延寿湯温泉にもショウブコンが配されています。経口では芳香性健胃剤、去痰、止瀉薬、腹痛、下痢等に用いる例があります。

 民間ではショウブを入浴剤として使う場合、葉をそのまま浴槽に浮かばせる場合、或いは葉や根を刻んで布袋に入れて煮出し、その煮出し汁を熱い浴槽にいれる場合もあります。

 

3.端午の節句とショウブ

 鍾馗さんの幟(のぼり)は、剣を手に睨み付けるような恐い顔で、あたりを見まわしています。その姿はまさに悪魔を退治する、魔除け、邪気を払うというポーズです。もう一つ、鍾馗さんには武を尊ぶシンボルの役割があります。親は鍾馗さんに子供の力強い心身  

の発育を託しております。

 端午の節句におけるショウブの役割は、この鍾馗さんの役割そのものです。香気による邪気払いと、刀身に似た葉の形、さらに、ショウブは尚武(しょうぶ=武事・軍事を重んじる)に通じるという説もあるようです。

 55日とショウブとのかかわりは古く、中国からの伝来ではありますが、5、6世紀頃にはショウブを邪気払い、無病息災を祈るまじないとして使ったという記録があります。

聖武天皇の天平19年(747年)には、天皇が「昔は55日にはショウブで頭の飾りに使う習慣があったので復活するように」といっております(続日本紀による)。

 

4.ショウブとアヤメ 植物分類での混乱

 どちらがアヤメで、何がショウブであるかという植物上の分類、名称は昔からややこしく、どうもすっきりしません。

 延寿湯温泉に使われているショウブコンはショウブの根茎です。このショウブはサトイモ科です。ところが、各地のショウブ園で梅雨どきに美しい花の咲かせるのは、アヤメ科のハナショウブ(花菖蒲)です。アイリスとも呼んでおります。このハナショウブは生薬にはまったく関係がなく、もっぱら鑑賞用植物で、アヤメは漢字では「菖蒲」と書きます。なお、もう一つ似ているカキツバタ(杜若)もアヤメ科です。
 ショウブとアヤメ(花菖蒲)の区別ですが、共通点は剣状の葉にあります。しかし、両者は花の形は全く異なります。ショウブの場合、小さな花が穂状に集まっており、華やかな花びらはありません。また、ショウブには強い芳香がありますので、区別は歴然です。

 ところで、もうひとつ複雑にしているのが、ショウブ仲間の名称の混乱です。

  日本ではサトイモ科のショウブ属というと、ショウブ(菖蒲)とセキショウ(石菖)の2種しかありません。植物学上では次のように学名がついておりです。

 ショウブ(菖蒲) Acorus  calamus Linn.  var  angustatus  Bess  ほか                   

      俗称:水菖蒲(みずしょうぶ) 
 セキショウ(石菖)Acorus  gramineus  Soland.

      俗称:石菖蒲(せきしょうぶ)

 しかし、民間でショウブ(菖蒲)といっいるのはセキショウ(石菖)のことであり、ショウブの本当の名前は白菖(はくしょう)です。植物分類の大家牧野富太郎先生は、ショウブに菖蒲の漢字をつけたのが誤りのもとであると、この名称の混乱を指摘しております。

 難波先生は、いわゆるショウブコンは水菖蒲であり、石菖蒲よりも太く、節が少なく芳香が強い、しかし、漢方処方では一般に石菖蒲を使うと述べております。両者の成分はあまり変わりませんし、外観も類似しているので区別は難しいようです。

 問題は医薬品として使われる生薬はどちらかということにありますが、両者には大きな差はなく、難波先生は

  水菖蒲=芳香性健胃薬とするが、経口では悪心、嘔吐あるためあまり使わない、

      主として民間の浴湯用

  石菖蒲=鎮痛、鎮静、健胃、駆虫、耳鳴り、ほか

と区別されています。

 延寿湯温泉に配合されているショウブコンは、ここでいう水菖蒲で、Acorus  calamus Linn.  var  angustatus  Bess  です。


                                     

延寿通信 第10号「草木染めと浴槽の汚れ」            2004年6月  

平安時代の源氏絵巻、江戸時代の浮世絵など絢爛たる衣装を見ていると、これが果たして草木で染められたのか、とその鮮やかな色彩に目を見張ることがあります。

近代の化学染料は明治になって入ってきて一挙に広まりましたが、とにかくそれまでの長い間、生薬が草木染め材料の主役となって鮮やかな色、渋い色を発色させてきました。

ところで、生薬を主原料とする延寿湯温泉には、草木染めになるものは配合されてはいませんが、生薬の色合いは豊かであるため、延寿湯温泉の生薬を染めに使うことは出来ます。使い方によっては美の源泉たる染めが、残念ながらタオルや洗濯物、浴槽を染めて、時には汚れにつながる場合があります。

 

1.染色に使われる草木

 古代日本にて、染色の材料として用いてられてきた植物には次ぎのモノがあります。

 スオウ(蘇芳)、 ムラサキ(紫根)、 ハジ(櫨)、 コウカ(紅花)、 アカネ(茜)

 クチナシ(サンシシ)、 キハダ(黄柏)、 苅安、ツルバミ

 その他 杉,ヒノキ、栗、ヤマモモ、藍、石榴、梅、桑などがあげられます。

これらの大部分は生薬として使われております。たとえば、紫根は江戸時代の薬種問屋

では、色素の少ないものや、色の黒ずんでいるものは医薬用に、紫色の美しいものは染

め用に回していたといいます。染料用には樹皮、根皮などが多く使われております。

 延寿湯温泉には上にあげたような美しい色を出す生薬は入っておりませんが、黄、茶系統では染料として使うこともできます。しかし、あくまでも延寿湯温泉は入浴剤ですので、染料という立場で見ると量は極めて少なく、普通はわずかに色がつくという程度です。

 

2.発色させる場合

 染料としての植物には媒染剤として、わら灰、椿の灰、食酢、石灰などが用いられました。現在でも一部で再現されている草木染では上述のような特定植物の灰は使われております。媒染剤というのは、繊維に染料がうまく染み込まないときに使う薬剤で、木の灰などアルカリ性のものが少なくありません。実際には微妙な色合いを出すために、酸・アルカリの加え方が難しく、熟練を要したようです。さらに、染めを堅牢なものにするために、何回も灰汁ですすぐことも色の種類によっては行われました。

 

3.水垢と浴槽の汚れ

 ポットタイプの湯沸器でも長い間使っていると、水垢が付着してきます。そのために、クエン酸を用いて洗浄することが奨められており、湯沸器の機種によっては「クエン酸クリーニング」という機能がついているのもあります。水道の水を使っているだけでも、長年にはこのような付着物が出てきます。

 これほど、極端ではありませんが、浴槽にも同じような現象の出る場合があります。

とくに、使用する水の硬度によって異なり、一般に硬水と言われている、硬度の高い水を使うと、いわゆる水垢が出やすくなります。延寿湯温泉はアルカリ性ですので、硬水中のカルシウムイオンと反応して、炭酸カルシウムの結晶が浴槽壁に析出する場合があります。析出すると、結晶は無色透明で、壁面がザラザラしてきます。

 これを防止するためには、用済み後の湯をすぐ抜いて流し、水で軽く浴槽を洗っておくことです。

結晶が目立つ場合にはクエン酸の使用をお奨めします。量的には大匙1杯のクエン酸を洗面器に溶かして使います。クエン酸は薬局あるいはスパーストアなどの洗剤コーナーに並んでおります。最近はクエン酸入り洗剤も出ているようです。

 

4.浴槽の材料と延寿湯温泉

 浴槽の材料はいろいろあります。 例えば、次ぎのような材質があげられます。

   強化プラスチック、ステンレス、ホーロー、木、タイル、セラミックス、大理石

 浴槽の汚れは材質と大きな関連があります。

<大理石> 延寿湯温泉の場合、材質を損なうおそれがあるのは大理石で、これは人工、天然を問わず、使用はお奨めできません。簡単に言えば「使用禁止」にあたります。 延寿湯温泉はアルカリ性ですので、大理石と反応し表面の艶がなくなることがあるからです。

 <強化プラスチック> これは表面が柔らかく、通常は細かい傷が出来ているので、汚れが落ちにくく、万一、汚れの出てきた場合、クレンザーでも落ちにくいので要注意です。

 <木質系> いわゆる天然素材で、好ましいタイプですが、延寿湯温泉の場合、着色が心配です。 上述のように、もともと、生薬は天然の染料なのです。それに、延寿湯温泉の場合はアルカリ性ですので、堅牢に染め付けているようなものです。特に木質は相性がいいので、染まりやすい傾向があります。しかし、その日のうちに流して、水で洗浄しておけば、通常は着色はありません。

 <ステンレス、ホーロー、タイル、セラミックス>  汚れが付きにくく、例えついても、汚れの除去がしやすいので、比較的安心できる材質です。しかし、そうはいっても、いつまでも浴槽に湯を残さないで、サット流して、洗剤を使い水洗いするのが原則です。たとえば、茶のみ茶碗でも、茶渋の汚れを落とすには水で流すだけでは十分ではありません。汚れが濃くなると、クレンザーつけてごしごしこすらないと、落ちません。

 

5.浴槽の汚れの落とし方

 不幸にして、浴槽に汚れが目立ってきたら、洗剤、薬剤を用いて洗わなければなりません。

 浴槽の汚れには、いろいろあります。

 (1)皮膚の脂肪分、剥離部など動物油脂系のもの

 (2)いわゆる水垢、炭酸カルシウムの結晶など、アルカリ性の化学物質

 (3)生薬の微粉付着、もしくは溶出した生薬成分による染着 

 
これらの汚れが浴槽に付着した場合の洗浄方法ですが、浴槽の材質が柔らかい場合、と硬質の場合と幾分異なります。
まず、汚れの種類では 浴槽の材質により、異なりますが、一般的には

(1)にはバス用洗剤、台所用洗剤などが良いでしょう。

(2)にはクエン酸など穏やかな酸性の洗剤を使います

(3)にはバス用洗剤と、クリーム状クレンザーを併用します

程度により、これらは併せて使います。汚れといっても単純ではありませんので、洗剤とクレンザーで、それにクエン酸を加えるなど、これも一方法です。

次ぎに、浴槽の材質別は次ぎの方法がお奨めできます。

浴槽の表面が柔らかく、磨き砂やクレンザーでこすると傷のつく場合、例えば、強化プラスチック、ホウロウなどは、このような鉱物性のもの注意して使わないといけません。

液体の洗剤、バス用洗剤などが穏やかで良いでしょう。

硬質系の浴槽はクレンザー、クリーム状クレンザーが効果的です。これらが、どんな汚れにも一番良く落ちます。ただし、しつこい汚れにはいささか力がいります。

大理石の場合、延寿湯温泉は「使用禁止」といいましたが、万一誤って使って汚れがついた場合は、まず、液体洗剤、次ぎにクリーム状クレンザー 微粉タイプを注意して使います。注意してというのは、大理石表面が柔らかいので、クレンザーによって、表面を傷つけるおそれがあるからです。目立たない部分で試して、すこしずつ拡大してゆきます。

クリームクレンザーというのは細かい研磨剤入りの液体タイプの洗剤で、商品名では

たとえば、「ジフ」日本リーバ、「ルックキッチンのみがき洗い」ライオン、「クリームクレンザー」ダスキンなどがあります。

「ホーミング」花王はやや目の粗いクレンザーで浴槽表面の強固な炭酸カルシウムなどの結晶をごしごしこすって取るにはいいのですが、表面を傷つける危険があります。

なお、銭湯の汚れ落しには、浴槽、床の材質はタイル系が多いので、新しい洗剤も登場してはおりますが、いまなお大量の磨き砂のたぐいが使われております。

昔ながらの磨き砂もクレンザーという名前で出ております。たとえば「しらかばクレンザー」は福島県産天然白土80%にしらかば粉石けん20%という成分で、焦げつきや頑固な油汚れに最適と用途をうたっております。